記事詳細

【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】「山ねこ」の芋は100%自社産! 伝統に根ざした“革新”は止まらない… 宮崎県「黒木本店」 (1/2ページ)

★宮崎県「黒木本店」(下)

 伝統と革新をモットーに、手仕事にこだわる黒木本店(宮崎県高鍋町)は、昭和60(1985)年に「百年の孤独」でブレイクした蔵。樫樽で長期貯蔵した麦焼酎が珍しかった時代に、そのココナツや香ばしい麦の風味は、全国の焼酎ファンを魅了した。

 その後も米焼酎「野うさぎの走り」、麦焼酎「中々」、芋焼酎「きろく」などを次々とヒットさせ、安酒イメージと一線を画した、プレミアム焼酎をつくり続けてきた。そして、次に向かったのは、同町の中心部にある蔵では、なしえない、自然と一体になった理想的な酒づくりだ。

 蔵の拡張や移転ではなく、平成10(98年)年に全く新しい蒸溜所を開いたのは高い志を持ってのことだった。それが、別法人となっている尾鈴山蒸留所だ。

 海に近い黒木本店の蔵からは、内陸に車で30分。焼酎の仕込み水に最適な湧き水が滾々(こんこん)と湧き出る尾鈴山の山中に、山小屋のような木造の蔵が建っていた。森の向こうからは渓流のせせらぎが聞こえ、空気は澄み、時おり鳥の声がする。

 一次仕込みが甕、二次仕込みが木桶なのは同じだが、ここには立派な麹室があり、完全手作業で麹をつくる。より個性的で風味豊かな焼酎にするためだ。原料にも違いがあり、米焼酎「山翡翠」は宮崎県の酒造好適米はなかぐら、麦焼酎「山猿」は裸麦、芋焼酎「山ねこ」は焼酎専用のサツマイモ品種ジョイホワイト。中でも「山ねこ」の芋は100%自社産だ。

関連ニュース