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【江口まゆみ 酔っぱライターのお酒見聞録】大抜擢受けた醸造家、26年の軌跡に…都農でしか醸せない味 宮崎県「都農ワイン」 (1/2ページ)

★宮崎県「都農ワイン」(下)

 県下一のブドウの産地、宮崎県都農(つの)町に、1996年に誕生した都農ワイン。ワインとして不適といわれた食用ブドウのキャンベル・アーリーから、本来の甘い香りを引き出すことに成功し、2002年に、イギリスの「ワイン・リポート」で、「最も注目すべき100本」の1位を獲得するほどに成長した。

 その立役者が、醸造家の赤尾誠二さん(44)だ。都農ワイン発足当初は、地元の農業高校を卒業したばかり。だがメキメキと力をつけ、06年には日本代表としてただ一人、オーストラリアのワイナリーへと3カ月の研修に送られた。大手ワイナリーの、名だたる醸造家を抑えての大抜擢だった。

 「期待より不安の方が大きかったですね。都農ワイン以外での仕事経験はないし、言葉は通じないし。でもよく見たら、やっていることは都農と一緒。フランスでもオーストラリアでも日本でも、ワインを醸す思いや志は、同じだと気づかされました」

 ワインとは水を1滴も使わない酒。だから常に、ブドウ栽培の延長線上にある。その土地を醸す究極の地酒がワインだと、赤尾さんは言う。海外の土壌や雨の少なさを、うらやましいと思ったこともあったが、それはハンデではなく個性。ヨーロッパの風土が醸すフルボディのワインが、チーズや肉に合うように、日本の風土が醸すライトボディのワインは、和の食材や家庭料理と合うからだ。

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