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【雇用延長時代を生きる健康術】歯の抜けた状態を放置してはいけない! 「噛むこと」と「脳」の大事な関係 (1/2ページ)

 奥歯で噛みしめるのと、手でギュッとモノをつかむときには、脳の同じ領域が働くことを前回紹介した。前歯でそっと噛むときと、指先でそっとつまむときにも、脳の同じ領域が活性化する。この噛む運動と脳の働きについての研究は、先月、東京医科歯科大学顎顔面矯正学分野の森山啓司教授らの研究グループが、国立精神・神経医療研究センター・神経研究所の本田学研究部長らと共同研究し論文発表した。その結果によって、「噛む」と「脳」を連動させた研究に弾みがつく可能性がある。

 「噛み方によって脳の活動領域は変わります。それを利用することで、認知症予防・改善のトレーニング、脳卒中のリハビリに応用できるのではないかと考えています」

 こう将来展望を話すのは、先の研究のグループリーダーを務める東京医科歯科大顎顔面矯正学分野の宮本順助教。噛む運動と脳の動きについて研究を続けている。

 「脳卒中で手足がマヒしたときにしっかり噛めるようにすると、噛むことで手に関わる脳の領域が活性化し、リハビリの後押しをするのではないかと思っています」

 脳卒中では、血管が詰まったり破れたりして、脳の一部の神経が死滅するが、リハビリで体を動かすと、新たな神経回路が生じてマヒの改善につながるといわれる。新たな神経回路の構築には、脳への刺激が不可欠。噛むことがその一助になる可能性があるわけだ。

 「事故で半身マヒになった患者さんが、顎の手術と矯正治療できちんと噛めるような状態になったら、体の回復が進展しました」

 この患者のケースでは、事故により顎を損傷し噛むことができなかった。リハビリを続けていたがコップを持つことができず、車椅子から立ち上がることもできなかった。ところが、顎の手術と矯正治療の併用で顎を治して噛めるようになった途端、コップを持つことができるようになり、立ち上がることもできるようになったそうだ。

 「噛むことが、新たなリハビリにつながるのではないかと思っています。今後、さらに研究を進めたいと考えています」

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