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【ドクター和のニッポン臨終図巻】名馬ディープインパクトの「安楽死」 人間との切ない違い (1/2ページ)

 残暑お見舞い申し上げます。皆さんはどんな夏休みでしたか。私は自著の『痛くない死に方』(ブックマン社)が、名匠・高橋伴明監督、柄本佑さん主演で映画化が決まり、原作&医療監修者として撮影に立ち合う日々でした。来夏公開予定です。撮影現場で、ある有名女優さんから質問されました。

 「私は尊厳死じゃなくて、安楽死がいいの。終末期になる前に、楽に死なせてほしいのよ」と。

 「何を仰るんですか。日本では尊厳死は可能でも、安楽死は禁止です」と申し上げると、「知らなかったわ」と驚いた顔をしていました。

 回復の見込みのない末期の状態になったとき、延命措置を断って自然に逝くことが「尊厳死」。それに対して、医師など第三者が薬物などを用いて患者の死期を積極的に早めるのが「安楽死」。安楽死は自殺幇助(ほうじょ)にあたるため、日本では手伝った者が逮捕されます。ただし、ヨーロッパでは認められている国がいくつかあります。数カ月前、NHKがスイスで安楽死した日本人女性のことを紹介しました。

 あの番組を見て、「私も安楽死させて」と言い出す患者さんがたくさんいて、大変困っています。罪深い放送だったと思います。

 しかし…人間以外の命では、わが国でも「安楽死」は認められていたのでした。

 皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制した三冠馬。史上最強の名馬、ディープインパクトが、7月30日、北海道の社台スタリオンステーションで死にました。馬齢は17歳でした。人間の年齢に換算すると、まだ50代前半という若さでの、「安楽死」でした。

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