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【ベストセラー健康法】「線虫で早期がん発見」を解き明かす!? 話題のがん検査「N-NOSE」とは (2/2ページ)

 ではなぜ、がん検査に線虫なのか。そこには3つの発想の転換があった。

 (1)「モデル生物」としてではなく、線虫の能力(嗅覚)そのものを生かす発想…犬の嗅覚受容体は約800種類だが、線虫は約1200種類も。

 (2)機械による診断から生物診断への転換…ごく微量のがんの匂いを嗅ぎ分ける高性能な機械を作るには莫大な時間と労力がかかる。しかし、生物の嗅覚には、もともとそれが備わっている。

 (3)尿を薄めてみる…がん細胞から分泌された物質は、血液にのって運ばれ、腎臓でろ過された尿に含まれる。濃縮するのではなくあえて希釈したところ、驚くべき結果が出た。

 そしてここから、気の遠くなるような実験の繰り返し、広津氏自身が大学教員を辞しての起業、実用化に向けた研究や医学会へ理解と協力を求める活動が始まる。

 本書の担当編集者・草薙麻友子氏は言う。

 「健康本としてももちろん役立ちますが、線虫そのものや生物診断の可能性についてなど科学読み物としての側面もあります。著者の生い立ちや歩み、研究者としての発想法、経営者としての挑戦などの成長ストーリーも盛り込まれ、1冊でたくさん学べる本です」

 がんは治せる時代になったとはいえ、「早期発見・早期治療」が何より大切。にもかかわらず、がん検診の受診率は一向に上昇していない。

 そうした中、「N-NOSE」は、1万円を切る(予定)費用と尿1滴だけで、がん検診の常識を大きく覆す存在になる可能性が大。夢のような話が目前まできている。(田幸和歌子)

 ■がん検査に役立つ「シー・エレガンス」とは?

 【見た目】成虫でも体長約1ミリ。透明で、肉眼では白っぽい糸のように見える

 【寿命】約20日。卵から成虫になるまでは気温20度で3~4日

 【繁殖】雌雄同体で、自家受精。1匹の成虫が100~300個の卵を産む

 【培養のメリット】体が透明なため顕微鏡で体内を観察でき、世代交代が早く、大量培養が可能

 【がん検査に適している理由】生まれるのはクローンのため遺伝的な個体差もないこと

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