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【コロナ禍のがん闘病記~ステージIVからの生還】ピンチの度に“幸運”が… 胸腔鏡手術成功、復職の夢ふくらむ (1/2ページ)

 今年9月初め、ステージIVの肺がん患者、吉仲勇さん(68)=東京都江戸川区=はがん研有明病院(江東区)の手術室にいた。胸腔鏡手術を受け、無事成功。体の脇を小さく切り、そこから胸腔鏡を入れ、腫瘍を取り除く方法である。執刀した呼吸器外科部長の文敏景医師は「開胸手術に比べ、体への負担は少ない」と言い、入院期間はわずか1週間で済んだ。

 退院の日、そのまま帰宅せず、長女の由紀さんに付き添われ、飲食店へ。「ああ、酒が飲みたい」と吉仲さん。新型コロナ感染予防策のため使い捨ての食器で提供された病院食を終え、解放感がいっぱい。「退院できたのだから、酒を飲んでも大丈夫だろう」。この威勢のよさも低侵襲の胸腔鏡手術の効果かもしれない。

 がんの患者にも運、不運があるように思える。吉仲さんはピンチの度に“幸運”が訪れ、救われてきた。

 2015年秋、最初にがんの疑いが発覚。きっかけは、家族が見つけた「ゾウのようにむくんだ足」だった。診察した地域病院の医師は「肺がんの疑い」と診断。その医師は、日本一がんの治療数が多いがん研有明病院を紹介した。

 16年1月、がん研ではステージIVの肺がんと診断された。抗がん剤治療を行ったが、薬剤耐性が出て次第に効かなくなってきた。家族はもしものことを考え、吉仲さんを誘って思い出づくりの家族旅行をした。

 その頃、鳴り物入りで免疫治療薬オプジーボが登場し、「切除不能な進行・再発の肺がん」にも保険適用された。とはいえ、効果がある人は1~3割程度で、事前に効果があるかどうかも分からない。ここでも幸運に恵まれ、投与した結果、がんは抑制された。その後の抗がん剤もがんの進行を抑え、条件が合致して今回の腫瘍切除につながった。

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