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【あきらめない肝臓がん】「余命6カ月」から…15個の多発がん消失 「LEN-TACEシークエンシヤル療法」 (2/3ページ)

 近大病院で詳しい検査を行うと、5センチもある大型のがんを筆頭に、計15個の肝臓がんを確認。典型的な多発がんでステージIIIとの診断だった。

 従来なら、TACEという肝動脈化学塞栓(そくせん)療法→薬物療法という順番で治療が行われていたはずだ。しかし、予後(治療後の生存の見通し)は必ずしもよくなかった。

 工藤教授はこのような症例に対し、治療の順番を入れ替えた、「LEN-TACEシークエンシャル療法」という治療方法を提示することが多い。LENは分子標的薬「レンバチニブ」の略で、その次にTACEを行う方法だ。

 そもそも、「TACEを繰り返して肝機能が低下した後に薬剤を投与しても十分な効果が得られないのではないか」(工藤教授)と問題提起。治療の順番を入れ替え、薬物療法→TACEの順番の臨床試験(治験)を内外で実施。工藤教授はこの方法による劇的改善を世界で初めて証明した。

 投手でいえば“先発”に格上げされた薬物療法のレンバチニブは、がん細胞の増殖に関係のある血管新生や悪性化を阻害し、がんを壊死(えし)・縮小させる。一方、“クローザー”となったTACEは、がん細胞に栄養素を送っている動脈(血管)をふさいでがんを兵糧攻めにし、がん治療を勝ち切る役目。

 主な対象は難治性の中等度(ステージIII)相当の肝臓がんで、多発がんの笹塚さんにも適応された。

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