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【オーバーロクマル世代応援企業】シニアには「積み重ねた経験が備わっている」 必要なのは「覚えようという姿勢や意欲や熱意」

★第10回「小松庵総本家」

 この連載は、25年間で2万人の経営者と交流してきた人材採用コンサルタント会社・キイストンの細見昇市社長が、60代以上の就業に積極的な企業30社を選出。夕刊フジと共同で紹介・顕彰するものです。

 1922年創業の江戸前蕎麦の伝統を受け継ぐ「小松庵」(東京都豊島区、小松孝至社長、http://www.komatsuan.com)。創業の地である東京・駒込の総本家のほか、丸の内や新宿、渋谷など都内に5店舗を展開する老舗である。

 「シニアの方には安定感や、数々の場面に出合って乗り越え積み重ねてきた経験が備わっています」と小松社長。そのうえで、「現在、全従業員は49人で、そのうちシニアの従業員は製粉担当者とドライバーなどをお願いしている2人ですが、今後は積極的に採用していこうと考えています」と語る。

 製粉の責任者である黒澤昌宏氏(60)は蕎学舎所長という肩書だ。

 黒澤氏は「蕎学舎というのは普通にいえば製造部門にあたりますが、“蕎麦についての学びの場”でもあります」と語り、蕎麦の実を粉にするまでの工程別の機械が並んだ部屋や、原料を最良の状態で保管するため温度や湿度が一定に保たれた倉庫の内部などを案内してくれた。

 「入社したのは4年ほど前になります。当時、現会長と知り合いだったこともあり『製粉をしたい』ということで入社しました。現在は週5日、季節にもよりますが勤務時間は7時から16時くらいまでです」

 仕事の内容は原料の吟味や製粉だけではない。原料の新規開拓や買い付けも重要な仕事の一つ。「北海道の新得、長野県伊那、栃木県日光花蕎麦など、いわゆる“蕎麦処”へ、時には社長と一緒に赴くこともあります」という。保管する際の温度を変化させて味わいを確認するなど、「蕎学舎」ならではの研究にも余念がない。

 繊細かつ注意力が要求される仕事のためか黙々と取り組んでいるようで、職場では製粉工程別の機械が発する静かな音だけが流れている。

 「この仕事は未経験だから無理ということはありません。必要なことは、覚えようという姿勢や意欲や熱意ではないでしょうか」(黒澤氏)

 “蕎麦愛”にあふれる黒澤氏の表情を見ながら、「収入を得るだけが仕事ではないですから」と語った小松社長の言葉が印象に残った。(取材・土金哲夫)

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