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おおむね、半ば推測…新築も中古も正確な「統計データ」がないワケ

 非常にお恥ずかしい話だが、私が向き合っているマンション市場には正確な統計データがない。新築マンションについては、さまざまな組織がさまざまな統計データを発表している。

 代表的なものだと供給戸数。「××年のどこそこのマンション供給戸数は×万戸」といった話がメディアに流れる。ああいった数字はおおむね正しいのだが、あくまでおおむねの域を出ない。

 その理由は、元になる数字はデベロッパーの自主申告だからだ。今年の1月後半に「2018年の12月の首都圏マンションの契約率が27年ぶりに50%割れ」というニュースが流れた。

 これを元に「マンション市場にもいよいよ本格的な不調期到来か」といった観測記事が出た。私もそれに類することを書いた。

 すると、「あれはある大手が、12月に駆け込みで供給戸数を増やしたことで分母が膨らみ、契約率が下がったのだ。不調期の到来ではない」といった趣旨の反論も出た。

 デベロッパーには年間供給のランキングがある。新築マンション市場ではどこが最大手なのかを競っているのだ。

 確かに某社が12月の供給量を増やしたことは間違いないと思われる。私は首都圏のマンション市場の大半を見て回っているので分かる。

 さらに、契約率をはじき出す分子である「××戸売れました」というのもデベロッパーの自己申告。ということは、やろうと思えば、供給戸数も契約率もデベロッパーが恣意的に操作できなくはない…ということだ。

 供給戸数も販売戸数も、最終的には数字を合わさなければならないため、「御社の申告した契約戸数を全部足すと、供給戸数の総数を上回るんだけど」などと言われるようなことは、さすがにあってはならない。

 それでいくと、昨年の12月に供給戸数が膨らんで契約率が下がったのは新築マンション市場の真実でもある。

 中古マンション市場でも、正確な価格推移や成約の総数などをつかめる統計データがない。

 実態に近いと思われているのは国土交通省が指定する流通機構が発表する数字だろう。これは大手中小を含めた不動産の仲介業者が中古マンションの売買を成立させた場合、その成約価格などの情報を指定流通機構に登録することで得られるデータが基本になっている。

 しかし、取引を成立させても、そのデータを登録しない仲介業者も多い。そういう取引はどこの組織も把握していない。だから中古市場の正確なデータはどこにも存在しないことになる。

 新築も中古も、マンション市場には正確な統計データがないので、市場の動きを読むには半ば推測を働かせなければならない。

 私は新築の市場を30年以上眺めているが、どうやらこの局地バブルは17年あたりがピークで昨年が「終わりの始まり」。今年は「終わりの年」になりそうだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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