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悪質手口から有休を守れ! あなたにもできる「ブラック企業との戦い方」 (1/3ページ)

 残業時間の罰則付き上限規制を含む働き方改革関連法が4月1日から実施された。ただし上限規制は大企業が先行し、中小企業の実施は来年の20年4月1日からだ。

 最も注目されているのは全ての企業が対象になる「年5日の有給休暇の取得義務」だ。具体的には、有給休暇(有休)が年10日以上与えられている従業員に対して、使用者は最低でも5日以上時季を指定して取得させる義務が生じる。従業員には管理職やパート・アルバイトも含まれる。

 例えば4月1日に入社した正社員やフルタイムの契約社員は法律上、6カ月後に年10日の有休の権利が発生する。そのうち5日を、会社は1年以内に取得させなければいけなくなる。 そもそも有休は労働者の絶対的権利であり、いつ使うかも基本的に会社が拒否する権限はない。会社が取得を拒否すれば6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される。実際に有休をフルに使っている人にとっては今回の5日の取得義務付けは関係ないだろう。

 しかし、世の中には中小企業の労働者を含めて有休とは無縁の生活を送っている人も少なくない。日本全体の労働者の有休取得率にしても50%にすぎない。ブラジル、フランス、スペインは100%、アジアでも香港は100%、韓国も90%だ。しかも取得率50%ならまだしも、年に5日も取得できていない人も実は多い。ワークスアプリケーションズ(東京都港区)が大手企業に実施した調査(2018年8月29日)でも、有休取得日数が年5日に満たない従業員が100人以上いると回答した企業が40%に上っている。

 もちろん「俺は有休なんかいらない、もっと働きたい」という人もいるかもしれない。だが、有休という以上、労働者は給料が出る1日8時間の労働時間が免除される権利を持っている。これを使わないとすれば、その分を会社に無償で奉仕していることになってしまうのだ。経営者にとってはありがたいことこの上ないだろう。

 日本の労働者の有休未消化分がどのくらいの金額になるのか、第一生命経済研究所が試算したところ、正社員1人当たり年間13万5000円。全体で毎年4兆円にも上るという(19年2月25日発表)。これは19年度の消費税収19兆3920億円の約5分の1に相当する。

 なぜ日本人は有休を取得しようとしないのか。

 ディップの調査(19年3月7日)によると、「勤務先が有休を取得しやすい風土か」について、「取得しやすい」と答えた人が62%であるのに対し、「取得しにくい」が38%だった。取得しにくい理由として最も多かったのが「勤務先の人手不足で休めない」で21%、「上司・同僚が取得していないため」が12%もあった。

 仕事の忙しさや周囲に遠慮して取っていない人が多いようだ。しかし、その背後には社員が有休を取ることを会社が快く思っていない風土があるのではないか。だが今回の法律の施行で最低5日は休めるようになる。

 ◆500人で罰金「1億5000万円」

 今回の法改正は、従来の有休取得を労働者の権利から一歩踏み込んで、使用者に確実に取得させるように義務付けたことに最大の特徴がある。取得させないと罰則もある。年5日の有休を取得させなかった場合は30万円以下の罰金を支払う必要がある。30万円なんて安すぎると思う人もいるかもしれないが、そうではない。

 厚生労働省のパンフレットには「罰則による違反は、対象となる労働者1人につき1罪として取り扱われる」とある。年5日を下回る社員がいれば1人につき30万円を支払うことになる。前述のワークスアプリケーションズの調査では、年5日未満の従業員が100人以上のいる大手企業が40%もあった。ということは30万円×100人で3000万円。もし500人いたら1億5000万円の罰金がかかることになる。

 だから決して遠慮することはない。堂々と有休をとってほしい。できればこれを機会に5日といわずに10日、20日でも取得してほしい。

 だが、もともと取得してほしくない経営者からすれば今回の義務化は迷惑千万の話だろう。そういう経営者に限って、あの手この手を使って取らせない、取らせても他の方法で法の抜け道を探すに違いない。すでにネット上でも悪質な経営者の手口がいくつか紹介されているが、 想定されている手口は以下の5つである。

 1.年5日取得できることを従業員に周知しない。

 2.年5日分を穴埋めするために夏期休暇や年末・年始休暇を削る。

 3.週2日の休日のうち、所定休日の1日を出勤日とする。

 4.祝日を有休に振り替えて有休を増やし、その範囲内で年5日を取得させる。

 5.一応、社員の要望を聞いて有休日を決めるが、忙しいという理由で取らせない。

ITmedia ビジネスオンライン

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