zakzak

記事詳細

認知症対策としてやっておきたいお金の契約 意思表示と判断が確かなうちに検討を

 各種の雑誌メディアでは相変わらず「終活」特集が花盛りだ。死の準備、実家の片付け、相続対策、死後の手続き、お墓とお寺などがテーマになっている。読者の高齢化がどんどん進んでいるのだろう。この調子では遠からず雑誌自身の終活(休刊)が必要になるのではないかと心配だ。

 さて、死の一歩前の重要な問題として、認知症などで判断能力に問題が生じた場合の高齢者の資産をどう扱うか、という問題がある。全国に既に認知症の患者が500万人いると推定されているし、人口が多い団塊の世代は2025年に全て後期高齢者(現在の定義では75歳)になる。

 対策なしに認知症と認定される状況は大変具合が悪い。銀行・証券会社などとの取引、不動産取引、介護施設などの入所契約などが本人や家族だけでは行えなくなる公算が大きいのだ。

 典型的には、ATMの暗証番号を忘れてキャッシュカードを度々再発行するようになると、銀行から「後見人を付けないと取引できない」と、取引を拒絶されることがある。家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てるよう勧められるが、家族が自分を後見人として推薦しても、弁護士、司法書士などのいわゆる「職業後見人」を付けられることが多い。

 家族が後見人に指名されても、士業の監督人(後見人が不正を行わないか監督する者)を付けられる場合が多い。後見人にも監督人にも少なからぬ費用の支払いが発生する(例えば預金が1000万円程度なら月額2万円など)。

 問題は、費用ばかりではない。後見人は被後見人の財産を減らさないことに集中するので、生活費を少額しか払ってくれなかったり、被後見人のために使う旅行代金の支出を認めなかったりするといった「不自由」が生じやすいのだ。

 職業後見人が選任されるケースはできるだけ避けたい。

 そのためには、高齢者本人の意思表示と判断が確かなうちに、信頼する家族を後見人に指名する契約(「任意後見契約」という)をあらかじめ結んでおくことが「予防」措置になる。本人の判断力があるうちに成立した任意の契約は優先されるからだ。

 具体的には高齢者本人の資産管理や契約を家族などがサポートする財産管理等委任契約と任意後見契約をセットで作り、公証人役場で有効な契約にしておくことだ。委任契約が直ちにスタートし、将来高齢者本人の判断能力が不足していて後見人が必要だという場合に、家庭裁判所はあらかじめ指名してあった家族を後見人として選任する。監督人は付けられるが、職業後見人が付くよりはマシだ。

 実際には、こうした契約を発効させて任意後見に至らずに、委任契約のまま推移するケースが多い。ぜひ検討されたい。(経済評論家・山崎元)

関連ニュース

アクセスランキング