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東京23区人口「増える区」「減る区」の未来図とは? 2045年問題

 東京都の人口は2025年から減り始めるとされているが、地域によってはばらつきがある。

 国立社会保障・人口問題研究所が18年3月に公表した推計値によると、20年から45年の間に23区のうち17区では人口が増える。減少するのは6区のみになっている。

 最も増えるのは中央区で約1・22倍。2番目は港区で約1・21倍。3番目の千代田区では約1・19倍。以下、台東区、江東区と続く。

 ただし、どの区でも総じて65歳以上の割合が高まるとされる。人口の総数は増えても高齢化はしっかりと進行するのだ。

 人口が減少するにもかかわらず高齢化が進む区も6つある。ワースト1は足立区の約0・89倍。次に江戸川区と葛飾区の約0・91倍などだ。

 人口が増えるということは、住宅需要もそれなりに増えることになる。その逆もまたしかりとも言えるが、人口と住宅需要は密接にはシンクロしない。住宅需要と連動するのは世帯数である。

 東京都の世帯数は30年頃から減り始めるとされる。しかし、人気が高い港区や中央区では30年以降も世帯数が増え続ける。

 ということは、23区の中でも都心に近い区では当面住宅需要が増大する、と考えてもいいのだろうか。さらに住宅需要の増大は価格の上昇につながるのか。

 確かに、都心の人気エリアでは今後も人口、世帯数ともに増えることは確実だ。しかし、現実的には需要の高まり以上に供給がある。

 例えば、23区内では新築マンションの供給戸数は年間約1・5万戸前後で推移している。

 過去1年間に23区内では国土交通省指定の流通機構に売買の成約が約1・2万件登録されている。流通市場に滞留している物件数はこの数倍規模だろう。ちなみに、現時点での首都圏全体の中古マンションの在庫は約4・5万戸。供給は今でも十分過ぎるほどある。

 昨年の23区の人口増加は約10万人。そのほとんどが20歳前後の若年流入層だった。彼らを吸収したのは、ほぼ単身者向けの賃貸住宅である。

 人口が増加したといっても、学生や社会人1年生が主体では、それが直接販売用の住宅需要増大にはつながらない。新築や分譲マンションの価格に対する上昇圧力とはならないだろう。

 都心で分譲された新築マンションの販売データなどを見ると、新築や中古のマンションを購入したのは、30代以上がほとんどで、購入者の年齢層は結構ばらけている。

 そういった市場の背景から、都心人気エリアといえども住宅の資産価値に最も影響を与えるのは、景気動向と考えるのが妥当だ。

 都心エリアでは今後とも人口や世帯数が増えて、それなりのにぎわいを維持できることは想定される。ただ、高齢化は容赦なしに進む。あとは街自体をいかに高齢者に優しい仕様へと変貌させるかが課題となる。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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