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鍋に対する不満が開発のヒントに エバラ食品「プチッと調味料」シリーズ

 家庭内個食化の時代である。家族であっても食事はまちまち。共働き世帯では親の帰宅が遅い、子供の部活や塾通いなどから、「時間差ファミリー」が当たり前になっている。

 一家だんらん、大勢で囲むイメージの鍋にもそのトレンドは押し寄せている。個食鍋市場を牽引(けんいん)するのが、2013年発売、エバラ食品「プチッと鍋」である。濃縮した液体の鍋の素をポーション容器(1人分の保存容器)に入れ、1個で1人分の鍋を作ることができる。

 同社家庭用マーケティング課の湯川恭彦(やすひこ)課長は「共働きの若い世代を想定していたが、ファミリー層や子供が独立し世帯人数が減った50代、60代にも支持され、広がった」と話す。

 開発が始まったのは2012年。「イノベーション鍋」をキーワードに、既存品の延長線上にない革新的な鍋の素を創るミッションだった。

 同社は「焼肉のたれ」で知られるが、鍋の素も先駆者。1969年に「すき焼のたれ」を発売し、鍋物調味料の市場を開拓した。99年発売の「キムチ鍋の素」は、これまで寄せ鍋など和風の味が主流だった市場に味付け鍋を認知させ、市場を大きく成長させた。いずれも濃縮した調味料を数倍に希釈して使う、ボトル容器である。

 2000年代に入り、3~4人分の調味料をそのまま鍋に入れて使うレトルトパウチタイプが登場。カレー鍋やトマト鍋などの新しいトレンドに合わせて、一気に席巻した。競争の激しい市場となる一方で、鍋を取り巻く環境には変化が生まれつつあった。

 開発に当たってのヒントは、鍋に対する不満にあった。「家族が揃わないと食べられない」「1回分使い切りのパウチタイプでは量が多い」「パウチタイプは味が薄まっても対応できない」など、家族を前提とした商品展開では新たなニーズに応えられないことがわかった。

 個食に対応できる鍋の素の容器として小袋なども検討したが、新しさや楽しさがあり、使いやすいなどの視点から、コーヒーフレッシュなどで馴染みのあるポーション容器に決定した。

 発売に当たって、「これまでにないコンセプトだけに、理解を得られるか不安もあったが、地道に提案を重ね、理解を得ていった」(湯川氏)という。テスト販売で懸念を払拭した。

 2013年、「プチッと鍋」発売。寄せ鍋やキムチ鍋など3種で、初年度約9億円(出荷ベース)を売り上げた。鍋調味料は3億円売り上げればヒットといわれる市場。大ヒットである。「CM展開で、最大の提供価値である1個で1人分を、『1プチッと1人前』と浸透できたことが成功した」と湯川氏は振り返る。

 15年からは1個で1人分というコンセプトを鍋以外にも展開。「プチッとステーキ」「プチッとうどん」「プチッとごはんズ」など利用シーンを拡大、現在ではシリーズ全体で約35億円(同)まで成長。鍋の新メニューの展開と共に「横に拡大する展開と鍋を深掘りする展開で、個食市場を充実させたい」(湯川氏)という。

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