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かんぽ不正販売問題、本質は「ノルマ」より「手当」 顧客側の対策は…

 かんぽの不正販売問題が拡大している。7月31日の時点で、これまで約9万件としてきた不正販売の件数が約18万件に倍増した。

 日本郵政の長門正貢社長の記者会見では、約3000万件に及ぶ契約に関して全件調査を行うとの方針が示されたが、契約者に問い合わせを送り、返信した契約者に対して調査し応対するという程度の対応のようだ。

 対応基準は「当時の顧客の意向に沿っていたかどうか」(朝日新聞8月1日付)などと説明されており、十分な調査にはほど遠い。そもそも、契約内容を十分理解していない契約者に対して、本人の損になるような契約乗り換えなどの勧誘行為があったことが問題なのだ。

 契約者自身が問題に気付くことは容易ではない。契約者ごとに契約前後の契約内容をチェックすると、契約者にとって損であったり、不自然であったりするケースが発見できるはずだ。本気で調査するつもりなのかが疑わしい。

 記者会見の注目点は、4月に行われた、かんぽ生命の株式の売り出しの前に関係者が不正販売の事実をつかんでいたらしいことについてどう説明するかと、かんぽ生命以外の保険商品も販売を自粛するのかの2点だった。

 前者については、売り出しの前に個別の不正販売事例があったことは把握していたが、企業価値に大きく影響するほどの規模であることを把握していなかった、と説明したいようだ。経営者は重大な不正を知ったら直ちに規模を把握するアクションを取る必要があったはずで、株式売り出しの前の重要な時期に行動していないのだから無能と言うしかない。

 しかし、問題の規模感を事前に知っていたなら「無能」ではないが、「違法」になる可能性がある。個人的危機管理として後者を避けたのだろう。この間の経緯は今後調査が必要だ。

 日本郵便は、かんぽ生命以外の保険会社の商品も売っている。仮に、かんぽ生命の商品を売れなくなり、別の保険会社の商品が売れるなら、郵便局員は保険販売の手当を得るために、他社保険の販売に注力しよう。今回の問題は、保険の商品ではなく、保険販売のあり方なのだから、調査が完了し対策が講じられるまで、全商品の販売を自粛することが当然だ。

 今回の不正販売の背景には過大な「ノルマ」があったとされるが、問題の本質はノルマではなく、保険販売で渉外社員が得る「手当」だ。会見によると、中央値で年収の約25%を手当が占めるという。郵便局に限らないが金融機関一般に「ノルマを廃した」と言っても信用できない。ポーズだけの問題なのだ。

 顧客側の対策は「今後郵便局で保険を買わない」と決めることに尽きる。読者は、田舎の親御さんの保険にも十分注意するべきだ。高齢者は狙われやすい。(経済評論家・山崎元)

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