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マンション管理の深刻な人手不足 管理、修繕…止まらぬ「維持費」上昇

 世の中、人手不足がますます激しくなっているようだ。

 私の住んでいる都心近郊の地下鉄の駅では、20台近くのタクシーが客待ちの列を作るのが普通だった。だが、ここにきてドライバー不足のためか、お客の方が乗り場に列を作っている。

 マンション管理の業界でも、人手不足が深刻だ。管理員を募集してもなかなか応募者が集まらない。そのせいか、販売を始める物件の管理費と修繕積立金が目に見えて高くなっている。

 5~6年前の感覚だと、管理費は月額にして1平方メートルあたり200円が相場だった。都心のステータスエリアだと、300円程度。逆に郊外の低価格エリアでは150円前後に設定されていた。

 修繕積立金は、1平方メートルあたり月額100円から150円前後でスタートして、徐々に上がっていく。20年後には250円から300円前後まで引き上げる長期修繕計画が多かった。

 新築引き渡し時のこれらの月額負担を、1平方メートル300円から350円程度にとどめると、70平方メートルの住戸でも月額負担は2万円台前半に収まるので、家計への負担感は軽い。負担を軽く見せた方が売りやすいので、修繕積立金は低めに抑えるのが通例である。

 ところが、最近、東京の湾岸エリアで販売が始まった大規模開発では、管理費と修繕積立金の合計が1平方メートルあたり400円台の後半に設定されていた。この物件は85平方メートル程度の住戸が多いので、月額負担は4万円前後となる。

 これに固定資産税や都市計画税を合わせると、その住戸を維持するためだけのコストは1平方メートルあたり800円を超えそうだ。ここから修繕積立金が値上げされることを想定すると、将来は1000円に達する可能性もある。

 85平方メートルの3LDKを維持するだけで毎月8万5000円というのは負担感が強すぎるように思える。

 今後、人手不足が続く限りマンションの維持費が上昇する流れは変わらないだろう。そうなれば、分譲は「保有コストが高い」というイメージを定着させる。

 一方、都心を中心に小規模な敷地で開発されているミニ戸建ては、分譲戸数こそマンションに比べてかなり少ないが、根強い需要がある。この局地バブルの中にあっても、マンションほどは値上がりしていない。なぜなら、戸建てはマンションと違って値上がり期待の思惑買いがない。ほぼ100%が「実需」用だ。だから、購入者が買える額までしか価格を上げられない。

 戸建て住宅は、マンションと違って維持コストが格段に安い。最初の10年程度は修繕費用がほとんどかからない。ミニ戸建てであってもカースペースがあるから駐車場使用料も不要。戸建てのランニングコストは、ほぼ固定資産税と都市計画税のみと言っていいくらいだ。

 今後、マンションの維持コストの上昇が続けば、戸建への回帰傾向が一層出てくる可能性がある。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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