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リクナビ「内定辞退予想データ販売」の教訓 全国民は「あらゆる行動のデータ化」自覚を

 リクルートキャリアが、就職活動支援サイト「リクナビ」を通じて得た学生の内定辞退の予想データを、学生の十分な同意を得ずに、企業向けに販売していたことが判明し、問題になっている。

 販売されたデータの内容や価格、購入企業など、事件の詳細は明らかになっていないが、既にトヨタ自動車、ホンダといった大手企業がデータを購入していたことが判明している。個々の学生の同サイト内でのデータ提供に加えて、閲覧履歴などのサイト内行動を元にして、内定の辞退確率を予想し5段階評価で購入企業に提供していたようだ。

 このデータが企業の採用行動に影響を与えたことは間違いない。企業の採用担当者が最も恐れるのは、予定した人数を採用できない「定員割れ」だし、内定者の辞退率は採用担当者自身の人事評価に影響する可能性もある。何よりも、対価を払って予想データを買った企業があること自体が、このデータが企業の採用行動に影響を与えるものであったことの表れだ。

 データの提供によって不採用となった学生がいるはずで、今後、訴訟を起こされる可能性もある。しかし、「データがなければ採用されるはずだった」ということが本人には分かりにくいし、第三者には立証しにくい。後味の悪い就職活動になった学生もいるだろう。

 表面的にはリクナビのサイト内で、データの利用について分かりやすい同意を個々に得なかったことが問題なのだが、学生ばかりでなく全国民は、サイト閲覧や書き込みなどのあらゆる行動がデータ化され、分析され、利用される可能性があることに自覚的であるべきだ。

 ある人材紹介会社のマネジャーから聞いた話だが、同社では企業に紹介する候補者について、各種のSNSなどを使って情報を収集し分析することが当然に行われているという。

 例えば、フェイスブックで漢字のフルネームを明かしていなかったり、個人が特定できる顔のプロフィル写真ではない人は、経歴詐称の確率が高いと聞いた。過去の勤務先などで経歴に加えたくない会社を履歴書に書かない場合、昔の職場のメンバーに自分を特定されたくないことが理由として推測されるという。もちろん、過去の書き込みが調べられたり、友達関係が調査されることは言うまでもない。

 いい大人がメシの写真などを載せて喜ぶような行動自体をいかがなものかと思うこともあるが、SNSなどにあって、自分が気付かずに「余計なデータ」を第三者に提供している可能性があることに注意を払うべきだ。ネット上で集められる個人のデータを分析して本人に行動をアドバイスするようなサービスにビジネス化の余地がありそうだが、まずは自分で自分のデータに気を付けたい。(経済評論家・山崎元)

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