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老親の貯蓄状況を確認する際の注意点は? 親が“自分ごと”として受け止めやすい切り出し方を

 お盆休み。いずれやってくる介護に備えて老親の貯蓄状況を把握したい。それは子供世代にとって切実な悩みである。

 親が元気で「良かれと思って聞いたら、『親の財布をあてにする気か』と一喝された」(57歳・男性)というケースもあれば、「すでに通帳をなくしていることがわかり、あわてて再発行を手伝うことになった」(60歳・女性)というエピソードもある。ズカズカと踏み込めば、親の気分を害する可能性が高いものの、完全に尻込みしていると機会を逸しかねない。

 今回は、親に老後の備えを確認するにあたっての注意点を紹介したい。

 比較的質問しやすいのは「急な入院のとき、どこからどのように支払えばいいのか」である。話題のとっかかりとしては、親族のけがや入院といった噂話、あるいは熱中症での緊急搬送を報じるテレビ番組なども使える。

 親が“自分ごと”として受け止めやすい切り出し方を心がけたい。

 このとき、「何かあったときに迷惑をかけられると困る」と主張が強く出過ぎないよう、気をつけたい。親への心配と照れが入り交じり、結果としてぶっきらぼうになったり、尋問かのような聞き方になってしまったりすることがある。

 また、老後の備えを知るといっても、親の全財産をすべて把握する必要はない。親は親で、「元気なうちに、自分の財布の中身をすべて子供に教えるのは抵抗がある」(75歳・男性)、「考えすぎかもしれないが、子供がよからぬことを考えるのではないかと不安になる」(68歳・女性)などと逡巡しているのである。

 ちなみに、終活のアイテムとしてすっかり市民権を得た感のある「エンディングノート」は賛否が分かれる。経済産業省がまとめた研究報告書によると、エンディングノートの存在を認知している人は全体の6割を超えるが、作成済みの人は2%前後。70歳以上でも5%程度に留まった。

 我が家の場合、夫の両親はエンディングノートを書かないまま、80代後半で認知症が立て続けに発覚。介護生活に突入した。

 一方、実の両親のほうはというと、母親はせっせとエンディングノートを記入しているが、父親は断固拒否。「考えたくない!」の一点張りである。このいさかいも、長年連れ添った夫婦同士でやっている分には毎度おなじみの夫婦ゲンカだが、たまにしか会わない親子がやると、修復しづらい亀裂にもなりかねない。

 親が興味を示せば、プレゼントする手もあるだろう。しかし、ノート1冊をポンと渡せば、必要な情報すべて書き込んでもらえるというのは少々期待が勝ちすぎている。

 もし、エンディングノートの活用を考えているなら、まずは自分自身が記入し、その内容を親に見せることを試みるといい。どの記入欄が埋めづらいのか、見せるのに抵抗感を覚えるか、身をもって知っておくことも、親との対話のヒントになるはずだ。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。「ホテル業界の高齢者雇用」をテーマに論文執筆を進めている。

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