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「こすらず洗う」消費者の“楽”に重点! ライオン「ルックプラス バスタブクレンジング」

 今、浴室用洗剤に革命が起こっている。洗剤に求める「汚れ落ち」「泡切れ」「除菌」から「こすらず洗う」に大変化。2番手に甘んじていたブランドが、市場を席巻しているのだ。

 この状況をマーケティングでは、「属性順位の転換」という。商品の性能・機能(属性)の中で1番いいとする価値観が変わることで、順位転換が起こると市場が再創造される。衣料の洗剤が白さから除菌に変わり、車がスピードとカッコよさからファミリー重視に変わったりした例である。

 主役は、ライオン(東京都墨田区)が、2018年9月に発売した「ルックプラス バスタブクレンジング」。浴槽全体にスプレーし、60秒後に水で流すだけで汚れが落ちる。「こすらず洗う」という提案が響き、19年6月までで1800万個以上を売り上げ、年間150億円の市場を約1・2倍に押し上げる大ヒットとなった。

 浴室用洗剤は先行ブランドが圧倒的でシェア6割を占め、「おふろのルック」は、後れをとっていた。同社は02年から2年おきにリニューアルしてきた。が、「汚れ落ち、泡切れ、除菌、消臭という従来の性能を改良してもらちがあかない」(リビングケア事業部ブランドマネージャー、宮川孝一氏)。

 従来の開発は、買う時に重視するポイントや不満を聞き、反映するやり方だった。宮川氏は性能からジョブ(作業)に視点を変え、消費者の家庭を訪問し、風呂掃除の行動観察(エスノグラフィー)調査を行った。

 分かったのは、「消費者は高性能な洗剤が欲しいわけではなく、毎日、きれいなお風呂に入りたいだけ」(宮川氏)。

 浴槽はほぼ毎日、それ以外の場所は週1~2回から月1回掃除する人が多い。浴槽掃除は洗剤をかけ(10秒)、スポンジでこすり(3~5分)、シャワーで流す(1分)-という手順が平均。  「こするという作業はたった3分でも、毎日となると苦痛であり、できれば解放されたい。これがインサイト(消費者自身が気づいていないニーズ)だと思った」。浴槽の掃除はこするのが当たり前と消費者は思っており、アンケートでは現れない。

 発売にあたり、容器をはじめデザインも一新、「ただ洗浄力が高くなったと思われては、今まで同じ。とにかく、お風呂掃除が楽、こすらず洗えることに絞り、全く新しいことを訴求した」。テレビCMを中心に、各種メディアで総合的なコミュニケーションを展開。結果、「こすらず洗う」機能が、広く受け入れられて先行ブランドを猛追。浴室用洗剤の属性順位転換が起こりつつある。(村上信夫)

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