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「純福島産」日本酒で風評払拭へ! 金賞数7年連続日本一の福島県、酒米独自開発でブランド価値向上狙う

 飲んべえ垂涎…。全国新酒鑑評会の都道府県別の金賞数で7連覇を果たした福島県が、酒米を独自開発し「純福島産」の日本酒づくりに力を入れている。金賞を得た酒のほとんどが兵庫県産の山田錦に依存している現状を打破し、一貫生産でブランド価値を高めるのが狙い。東電福島第1原発事故による風評被害で下がった県産食品のイメージを回復させる期待も背負う。

 「福島の酒の魅力向上に欠かせない期待の大型新品種」(県農業振興課)。県が15年かけて開発した酒造好適米「福島酒50号」は、コメの中心部の心白が他の酒米に比べ大きく、水分を多く含み、こうじ菌が繁殖しやすい。出来上がった酒は香りが強く、すっきりした甘みが特徴。公募案の中から正式な名称を年内に決め、品種登録する。

 清酒の出来栄えを審査する5月の全国新酒鑑評会で、福島県内の酒蔵が獲得した金賞の数が全国初の7年連続の日本一となった。原発事故の風評被害の払拭に取り組む内堀雅雄知事は、日本酒を「復興のトップリーダー」と位置付ける。日本酒躍進の勢いを借りて県産品への偏見をなくしたい考えだ。

 ただ、鑑評会に出品される酒の多くは兵庫の山田錦を原料に使っている。県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターの担当者は「山田錦は精米しやすく、上品な味わいで、大吟醸向きのコメ」と評価する。福島県は1991年から県独自の酒造好適米「夢の香」を約10年かけて開発し、2001年から本格栽培を始めたが、高級酒では山田錦の牙城を崩せなかった。

 福島県は「山田錦と比べて遜色ない品種を作ろう」と酒造好適米の開発を継続。04年から改良を重ね、福島酒50号を約1万株の苗から厳選した。

 本格栽培は来年からの予定だが、酒蔵に浸透するかどうかは課題もありそうだ。17年に試験醸造に協力した同県会津若松市の鶴乃江酒造取締役の林ゆりさん(46)は「仕込みの際に溶けやすく、扱いづらいが、福島の酒らしい、甘みのある酒がつくれた。ただ、毎回同じ味を再現するのが難しい」と話した。

 県農業振興課の担当者は「手間がかかるが、慣れれば克服できる」と自信を見せる。20年東京五輪・パラリンピックの歓迎行事で振る舞い、世界に発信したい考え。1つ1つの試みが福島の復興の支えになっていく。

 ■全国新酒鑑評会 日本酒の全国規模の品評会で、1911年に始まり、今年で107回目。現在は広島県東広島市の独立行政法人「酒類総合研究所」などが主催し、同研究所の研究員や国税庁の鑑定官、杜氏、醸造の専門家ら約70人が香りや味を評価。今年5月に結果が公表された鑑評会には、2018酒造年度(18年7月~19年6月)に製造された大吟醸酒と吟醸酒計857点が全国各地から出品された。うち入賞酒は416点で、特に優れていると評価された金賞酒は237点だった。

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