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れいわ新選組も掲げる異端の経済理論「MMT」って何? その“強烈な弊害”まで徹底解説 (1/2ページ)

 消費税の撤廃などを訴えた「れいわ新選組」が参院選で約230万票を獲得したことから、同党が経済政策として掲げるMMT(現代貨幣理論)が大きな注目を集めている。MMTが異端の経済学とされているせいか、推進する人も反対する人も異様なまでに感情的であり、本当のところどのような理論なのか客観的に紹介されるケースは少ない。以下では可能な限り、分かりやすくMMTについて解説してみたい。

 ◆限界指摘されてきた既存の財政施策

 MMTは、ニューヨーク州立大学のステファニー・ケルトン教授らが提唱している経済理論で、主流派の経済学とはかなり趣が異なっている。ごく簡単に説明すると、自国通貨建てであればインフレが発生するまで財政出動が可能という理屈である。

 まず経済理論にあまり詳しくない人のために、経済政策のイロハについて説明しておこう。

 経済政策に関する議論では、いろいろと小難しい理屈がやりとりされており、こうした難解に聞こえる話で煙に巻こうとする識者もいるのだが、景気を良くするための方策は基本的に3つしかない。

 1つ目は政府が公共事業などを行って景気を刺激する「財政政策」、2つ目は金利を引き下げることで銀行の貸し出し増加を狙う「金融政策」、そして、3つ目は、経済の仕組みを変え、自発的にマネーが回り出すよう促す「規制緩和(構造改革)」である。どんなに複雑に見える経済政策であっても、基本的はこれら3つの組み合わせになっているので、ぜひ覚えておいてほしい。

 戦後の経済政策の中心となってきたのはケインズ経済学をベースにした財政出動である。具体的には国債を発行して政府が資金を調達し、財政出動で景気を刺激するというものである。ところが、1990年代に入って財政出動の効果が低下し、財政政策の限界が指摘されるようになってきた。

 特に小渕政権時代には、大型の財政出動をやり過ぎた結果、日本政府が抱える負債が急激に増大した。主流派経済学では、過度な政府債務は金利の上昇を招き、民間の設備投資を抑制するなどの弊害があるため、リスク要因と認識されている。

 こうした状況から小泉政権は財政出動に頼るのをやめ、産業構造そのものを改革することで経済を活性化しようとした。これがいわゆる構造改革だが、この実施には多くの痛みが伴うため、国民が猛反発。結局、小泉改革は途中で頓挫してしまった。

 ◆「即効性」期待できるMMT

 財政の効果が薄い場合には、金利を引き下げるといった金融政策が効果的だが、日本の場合には長期デフレが続き、金利が著しく低下したため、金融政策の効果も期待できなくなった。そこで登場してきたのが、市場にインフレ期待が生じるまでマネーを大量供給し、実質金利をさらに引き下げるという量的緩和策である。

 量的緩和策は金融政策を強化した劇薬とも呼べる政策だが、残念ながら日本では大きな成果を出すことができなかった。日銀が供給したマネーのほとんどは日銀当座預金に積み上がったままで市場に出回らなかったからである。

 つまり財政をやってもダメ、金融政策(量的緩和策)をやってもダメ、構造改革は途中で頓挫、という状況で登場してきたのがこのMMTである。

 MMTは、金融政策ではなく、政府支出の増加で景気を刺激するという点では財政政策の一種である。だが、政府支出の財源は、中央銀行が発行した大量の紙幣なので、その点では量的緩和策にも通じるところがある。

 だが、量的緩和策の場合、銀行にいくらマネーを供給しても、民間が自発的にマネーを使わない限り、GDP(国内総生産)は増えない。実際、日本では危険水域に近い水準までマネーを供給したが、成長率は低迷したままだ。

ITmedia ビジネスオンライン

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