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大人向け商品発売でブランド全体押し上げ 江崎グリコ「ビスコ」

 発売から86年、「ビスコ」(江崎グリコ・大阪市)が売れている。2018年には発売以来、過去最高売り上げを達成。13年から5年間で売り上げが150%を超える勢いだ。

 ビスコは1933(昭和8)年、1箱10銭で発売された。子供の栄養補給を目的とした酵母入り菓子として、親しまれてきた。が、菓子市場の縮小傾向はビスコも例外ではなかった。それがこの5年、成長に転じ、誕生から85年を超えた現在もまだ伸びている。その理由はどこにあるのだろうか。

 同社マーケティング本部ビスケットマーケティング部の谷口忠司氏は、(1)1990年~2000年までに行ったブランドエクステンション(拡張)(2)若い女性をターゲットにおいしさ、栄養を強化した“おねえさんビスコ”の開発(3)大人層へと客層を広げた、2015年“ビスコ<発酵バター仕立て>の開発-の3点を挙げる。

 ブランドエクステンションとは、すでに成功しているブランドを利用して新製品を新しいカテゴリーに投入することをいう。新たなブランドを立ち上げるより低コストで済み、成功率も比較的高いと考えられるが、失敗した場合、元のブランドにも大きなダメージを与えるリスクがあるといわれる。

 ビスコは、外出先でちょっと小腹に入れたい時のミニパック、親子や家族と一緒に自宅で食べるための家庭買い置き大箱、大袋とブランドエクステンションを行うことで、それまでの母と子から食シーン、ターゲットが広がった。

 その頃、もっと若い女性に食べてもらいたいと、社内通称“おねえさんビスコ”の開発が始まる。おねえさんにもおいしいと感じてもらうため、生地をビスケットではなくクラッカーに替え、クリームとの相性、塩味、軽い触感も求めて試行錯誤、あっさりとしたおいしさを実現。02年、「ビスコ<小麦胚芽入りクラッカー>」を発売した。

 13年には「80周年スペシャルビスコ<発酵バター入り>」を限定発売。20~40代の女性に好評だったことから、「ビスコ<発酵バター仕立て>」(15年)を商品化。一部欠品も出る大ヒットとなり、大人層に拡大した。

 18年、「ビスコ<焼きショコラ>」、忙しい朝にも手軽においしく栄養を補給できる朝ビスコ「ビスコ シンバイオティクス」とシリーズを拡充してきた。

 「もうひとがんばりの小さな元気をくれる」ブランドとしてコアバリューを設定。テレビCMでは笑顔で「さぁ、ビスコでもうひとがんばり」と語り掛けるコミュニケーションを行い。WEBコミュニケーション、店頭施策などを総合的に展開した。

 「1つの商品のヒットではなく、発売をきっかけに、長い間ビスコを購入されていなかったお客さまが、赤い箱のビスコ、ビスコ<小麦胚芽入り>、ビスコ<発酵バター仕立て>などの他のアイテムと出合うきっかけを作ることで、ブランド全体を押し上げた」と、谷口氏はいう。(村上信夫)

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