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マイナスの長期金利は何を意味するか 金融機関が経営悪化、解消には政府と中央銀行の連携必要

 長期金利とは、一般的に満期まで10年の残存期間がある国債の流通利回りのことだ。ある程度の期間お金を借りたり、あるいは資金を運用したりする際の指標として参照される金利だ。

 現在、日本の長期金利はマイナス0・2%台にある。マイナスの長期金利は日本だけの現象ではなく、ドイツやスイス、さらに北欧諸国の長期金利もマイナス・ゾーンだ。

 マイナス金利といわれても具体的に何が起こっているのかピンと来ない読者がいらっしゃるかもしれない。例えば、10年後に価格100円で償還される国債が、現在103円で買われているとすると、大まかには(単利の計算だと)マイナス0・3%の利回りということになる。将来、3円分損をすることを承知で国債を買う人がいるのがマイナスの長期金利の現実だ。

 なぜ、マイナス金利でも国債を持とうとする人がいるのか。将来の価値がはっきりしているお金の持ち方として、国債が他の手段よりも安全で換金性も優れていると考えるからだ、とまずは考えることができる。絶対安心な保管先にお金を預けられるなら、いわば実質的な保管料としてマイナス利回りを払ってもいいと判断するのだ。

 この点には、金融機関が保有する資産のリスクを評価する際に、国債や信用度の高い債券のリスクがゼロないし小さく評価される制度的な要因もある。

 また、国債は各種の金融取引にあって信用度が高い担保として受け取ってもらえる事情もある。利回りがマイナスでも国債を持ちたいという主体が居てもおかしくはない。

 しかし、お金を他者に10年間使わせて、預ける側が金利を払うという状態は普通ではない。各種の基金や積立金などで資金の運用先に困っている機関が少なくない。また、預金が集まる金融機関も貸出先が乏しいことに加えて貸出金利が長期金利に連動して低下するので、既に自らの運営コストを利ざやで吸収できなくなりつつあり、経営が悪化している。

 大本の原因として、長期金利のマイナスが起こる原因は「十分な信用度を持つ借り手」の資金需要が乏しいからだ。

 加えて、中央銀行の金融政策として短期金利が今後も長期間マイナスであったり、さらに低下することが予想されたりする場合、長期金利の下落とマイナス化が起こっても不思議ではない。

 長期金利のマイナスを解消するためには、「信用のある借り手」である政府が債務を増やして(支出の拡大よりは減税や給付金がいいが)、中央銀行の金融緩和と協調することが望ましいのだが、日本や欧州ではこうした連携は起こりにくい。金融仲介全体にとって健全とは言い難い状況がしばらく続きそうだ。(経済評論家・山崎元)

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