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想像できない衝撃が… GDP世界第3位の日本で、住宅ローンの「マイナス金利」はあるか?

 米国のトランプ大統領は、自ら任命したFRB議長のパウエル氏に対して、しきりと金利引き下げを求めている。

 トランプ氏は不動産業界の出身だ。金利水準には非常に敏感。低金利であればあるほど、不動産業にとってビジネスがやりやすくなる。もちろん、景気も良くなる。

 株価が上がって景気が良くなると、大統領の支持率が上がるので再選の可能性も高まる。だからトランプ氏としては金利を引き下げたい。その圧力を眺めてか、市場では金利引き下げの観測が強くなっている。

 一方、ドルとはもう1つの極をなすユーロにも金利引き下げの可能性が高くなってきた。ユーロ経済の屋台骨とも言えるドイツで景気が悪化している。ドイツ銀行の経営悪化も気になる。域内では英国の離脱問題も予断を許さない。明るい材料が乏しいのだ。

 日本はどうなのか。米中の貿易戦争は日本経済にもブレーキをかけている。10月1日からは景気後退を招く消費税の引き上げも実施される。

 ドルやユーロの金利が下がれば、その反作用として円高に導かれる。円高は国内の景気減速要因だ。では、日本も対抗上、金利を引き下げるのか。

 だが、日本には引き下げるべき金利がない。もう5年以上もゼロ金利。一部ではマイナス金利になっている。であるにもかかわらず、日本銀行の首脳部からは「必要ならさらなる金融緩和を行う」という勇ましい声が聞こえてくる。一体、どんな金融緩和の手段が残されているというのか。

 唯一、有効な金融緩和はマイナス金利の深掘りだ。今は金融機関の間のみで成立しているマイナス金利を、一般消費者向けまでに拡大するという前代未聞の政策だ。

 例えば、銀行に預金を預けると利子が付くのではなく手数料を徴収されることになる。100万円を銀行に預けても“99万ウン千円”しか引き出せなくなる。

 マイナス金利の住宅ローンも登場するかもしれない。例えばマイナス0・5%で1000万円借りた場合、30年間の総返済額は950万円程度で済むかもしれない。

 ウソのような話だが、実際にこれを行っている実例がある。デンマークのある銀行が先日、10年固定住宅ローン金利をマイナス0・5%へ引き下げたというニュースが流れた。デンマークは先進国だが経済規模が小さい。マイナス金利の住宅ローンが登場しても、世界経済に与える影響はわずかなものだ。

 しかし、GDPが世界第3位の日本でマイナス金利の住宅ローンが登場したらどうなるのか。ちょっと想像できないくらいの衝撃があるだろう。

 好ましい影響を受けるのは、郊外のファミリー向け新築マンション市場。ちょっとしたマンション購入のブームを巻き起こすかもしれない。

 もっとも、マイナス金利が返済途中で終わり、プラスに変わった時の反動が恐ろしい。返済不能になる人が続出する気もする。マイナス金利はかなりの劇薬なのだ。

 ■榊淳司(さかき・あつし) 住宅ジャーナリスト。同志社大法学部および慶応大文学部卒。不動産の広告・販売戦略立案・評論の現場に30年以上携わる(www.sakakiatsushi.com)。著書に「マンションは日本人を幸せにするか」(集英社新書)など多数。

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