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「華齢、朗齢、好齢」へ私たちができること フリーアナウンサー・遠田恵子さん

 年を重ねることは喜ばしいことか、気鬱なことか。「仕事を離れてから本当の人生が始まった気がする」(65歳・男性)、「楽しみを見つけたいとも思うけれど、老後が不安でそれどころではない」(64歳・男性)と、とらえ方はずいぶん異なる。「番組づくりをしていて面白いことをしている人を探すと、高齢の方に行き着くんです」

 こう語るのは、フリーアナウンサーの遠田恵子氏だ。NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」キャスターを15年間務め、現在はNHKラジオ第二放送「視覚障害ナビ・ラジオ」、NHKラジオ第一放送「ラジオ深夜便」のインタビューコーナーを担当する他、ディレクターとして番組制作も手がける。「ラジオの取材ではインタビューが中心になりますが、お年を召した方のコメントの説得力は言葉では言い尽くせないほど。人生のさまざまなできごとを乗り越えてきたからこその知見をご自身の言葉で語ってくださるんです」

 シニア世代への感動の原体験は『ラジオあさいちばん』キャスター時代にさかのぼるという。「60代70代のリスナーが多く、お手紙で四季折々の伝統行事や日本語について教えていただきました。時には『あなたの言葉遣い、ちょっと違うわよ』とお叱りをいただくこともありました。でも、私が『こういう風にやってみようと思います』とお伝えすると、応援団になってくださって」

 そんな折り、健康をテーマにしたコーナーのいちゲストとして、のちに恩師となる「老年学」の第一人者である柴田博教授と出会う。「高齢者の実態を学ぶ『老年学』という学問があると、そのときに初めて知りました。しかも、医療や福祉だけではなく、さまざまな分野の人たちが一緒に高齢社会を考えていかなくてはいけないという話を伺い、俄然興味がわいてきました」。当時、メディアが取り上げる老人と言えば、「寝たきり」や「痴呆」といったネガティブ一辺倒だった。取材現場で出会う高齢者の実像とのギャップに違和感を覚えていたと、遠田氏は振り返る。

 41歳で大学院に入学し、修士論文では「高齢者とメディア」をテーマに選んだ。現在は「華齢、朗齢、好齢」と題して、老年学の講演も行う。「違う文字を当てただけで『加齢、老齢、高齢』のイメージが一変します。年を重ねても華やかに、朗らかに、自分を好きでいたい。そのためにはどうすればいいのか。わたし自身も模索しながら、みなさんにお伝えしていきたいと思っています」

 ■桜美林大学老年学公開講座「老いのトリセツ」 10月6日午後12時30分から桜美林大学新宿キャンパス開催。遠田恵子氏「華齢、朗齢、好齢の実践」のほか、外国人介護人材に関する講演もあり。03・5413・8261で要申し込み(参加無料)。限定100人。

 ■島影真奈美(しまかげ・まなみ) ライター/老年学研究者。1973年宮城県生まれ。シニアカルチャー、ビジネス、マネーなどの分野を中心に取材・執筆を行う傍ら、桜美林大学大学院老年学研究科に在籍。「ホテル業界の高齢者雇用」をテーマに論文執筆を進めている。

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