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【バフェットの次を行く投資術】「行動経済学」のように“人間心理の機微”に通じることの重要性

 2017年にリチャード・セイラーがノーベル経済学賞を受賞したことで「行動経済学」がにわかに脚光を浴びるようになった。ちなみに02年には、ダニエル・カーネマンが同賞を受賞しているが、その研究には、エイモス・トベルスキー(1996年没)も大きく貢献している。

 行動経済学とは簡単にいえば、「人間を干からびて虫ピンでとめられた昆虫標本のように扱うのではなく、草原や空を自由に駆け巡るありのままの姿で観察して実態を探る」学問である。

 「合理的経済人」のような干からびた標本から得られる情報はごくわずかだが、実際に野原を駆け巡る「生きた人間」を観察して学ぶことは多い。

 実験手法の一つに「最後通牒ゲーム」というものがある。A、B2人の被験者を呼び、Aに1万円を渡し、それをBと分け合うように指示する。分け方はまったく自由だが、Bが受け入れなければゲームオーバーになる。

 チャンスは1回だけである。「合理的経済人」の考え方に従えば、Aが強欲で取り分を9900円にしてBに100円しか渡さない場合でも、Bはゲームオーバーになって0円になるよりも100円をもらった方が得だから受け入れるべきである。しかし、このようなオファーは実際には、ほとんどの場合拒絶されるのは、読者にも理解できるだろう。大概の場合、7対3とか6対4とかそれなりに妥当なオファーがされるし、5対5というケースもある。

 ただし、例外は経済学部の学生である。彼らはAの立場になった場合、かなり強欲なオファーをする。毎日の講義で「人間は利己的で損得で動く」と教えられているから当然ともいえるが、それを教え込む指導教官がどれほど利己的であるかも容易に想像できる。

 バフェットは人間が数式では表せない「人間的」な存在であることを十分理解し、人間心理の機微に通じているからこそ投資の世界で大成功した。また、投資に高等数学は全く必要ないと断言している。(人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)=敬称略

 【2019年9月12日発行紙面から】

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