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政治も「ガチョウの沈黙」に便乗!? 消費税が「悪魔の税制」といえるワケ

 日本の法人税率は29・74%という建前だが、ソフトバンクグループは税引前純利益1624億2200万円もあるのに、納税額は500万円、税負担率0・003%。日本製鉄はそれぞれ1109億2200万円、16億1500万円、1・46%。これは、元国税マンで税制研究の大家、富岡幸雄・中央大学名誉教授が近著『消費税が国を滅ぼす』(文春新書)で明らかにした。

 大企業がまともに納税すれば約9兆円の税増収となり、消費税増税は不要どころか、消費税減税が可能になるという。消費税率を下げれば、家計の消費は上向き、内需は拡大、20年以上もの間、日本経済を停滞させてきたデフレ圧力は解消、日本再生の見通しが立つ。消費税増税による日本経済破壊ぶりを論じてきた拙論にとって、まさに正鵠(せいこく)を射た思いだ。消費税というのはつくづく「悪魔の税制」だと思う。

 消費税を世界で初めて導入したのは第二次世界大戦後のフランスだが、その基本的な考え方は17世紀、ルイ14世の財務総監、ジャン・バティスト・コルベールの「徴税の極意」に由来する。

 吉田寛・千葉商科大学教授の近著、『市場と会計』〔春秋社〕によると、コルベールは、生きているガチョウを騒がせずに、その羽をできるだけ多くむしり採ることだ、とうそぶいた。騒ぐとやっかいな貴族や僧職には課税せず、宮廷に出入りすることのない平民を徴税の対象とした。

 日本でも消費税が1989年に導入されて以来、財務官僚は何かとうるさい財界には法人税率を引き下げる一方、収入をむしり取られてもおとなしい家計に対しては消費税率アップで臨む。そればかりか、法定税率はあくまでもみかけだけで、内実は企業規模が大きくなればなるほど実際の税負担率は下がっている。忠実に税を納めているのは主に中堅規模の企業だという。

 日本国の国土、文化・伝統や国民の献身などあらゆる資源を最大限利用しているソフトバンク、日本製鉄のような超大企業が巨大な利益を稼いでいるのに税負担が小さくても、お上からとがめ立てられることはない。

 政治の方も、「ガチョウの沈黙」に便乗している。安倍晋三政権は消費税率を2014年度にそれまでの5%から8%に引き上げたばかりか、今年10月には10%とするのだが、安倍政権は消費税増税にもほとんど影響されずに安定した世論の支持率を保っている。

 このままだとどうなるか。家計なるガチョウは1997年度の消費税増税以来の慢性デフレにさいなまれている。子育てや教育にカネのかかる30歳から50歳未満の世代の2018年の給与は01年よりも少ない。

 グラフは家計消費と消費税、法人税、所得税など一般会計税収総額の推移である。税収増減額はほぼぴったりと家計消費増減額に連動している。政府税収は消費税率を上げない限り増えない。法人税は上記のような不公正ぶりだ。

 ガチョウを太らすことを考えないどころか、やせ細ろうとも、気にしない。そして平然と毛をむしり取る。(産経新聞特別記者)

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