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人の心を動かす「モノは言いよう」!? 消費増税「フレーミング効果」も大事だけれど…

 10月に入り、ついに消費税が10%に上がりました。増税は生活費を直撃します。その上、今回は日々欠かせない食料品の税率が複雑でよくわかりません。

 たとえばコンビニでパンをテイクアウトすれば軽減税率8%が適用されるのに、イートインコーナーで食べたら外食扱いで10%になります。またお酒は持ち帰っても外食でも10%なので「酒は飲むな」と言われているような気もします。その結果「とりあえず外食と酒は控えよう」と思ってしまう人は少なくないでしょう。会社帰りに軽く一杯、を楽しみにしていたビジネスマンはストレスがたまりそうです。

 そんな人々の気持ちを見透かすように、大阪のビジネス街で半世紀もの間、ビジネスマンだけを相手にしてきた居酒屋が「たった30円だけど値下げします」と宣言し、980円の「ちょい呑みセット」を10月から950円に値下げしました。

 金額は30円ですが、値上げラッシュの中で値下げと聞くとなんだか嬉しくなります。つい、外食と酒を控えるのを忘れて「値下げだから大丈夫」と自分に言い訳をしながら店に入ってしまいそうです。もちろん飲み出すと950円で済まなくなるのはわかっていますが、すでに心は「値下げ」のお得感に満たされているので消費税分も損をしたとは思いません。

 このように実質的には同じことなのに、声のかけ方や表現の仕方で人の行動が変わることを行動経済学でフレーミング効果といいます。昔から「モノは言いよう」というように、表現を少し工夫するだけで人を動かせるというのです。

 それではいったいどんな表現が有効なのか、神社で凶のおみくじを引いて落ち込んでいる人の慰め方を例にご説明しましょう。まずはダイレクトに「これから気を付けて」と声をかけるパターン。もちろん気遣っているのですが、相手は「これから悪いことが起こるんだ」と思い込んで、ますます落ち込んでしまいます。

 ところが「超ラッキー! 神様が今が底と仰っているのだから、これから運気は良くなりますよ」と言うと相手は嬉しくなって、あなたに感謝するでしょう。もしあなたがセールスマンなら、その場で商品を買ってくれるかもしれません。

 恐るべしフレーミング効果。そんなに効果があるなら消費増税対策に使わない手はありません。財布のヒモをしめたお客様に戦略的に声をかけて、一発逆転を狙おうではありませんか。

 ただ、先述の居酒屋のおやじさんには、こうクギを刺されました。「値下げは、消費増税で酒を我慢しているお客様に喜んで欲しかったから。商売は信頼関係だからフレーミング効果なんて関係ないよ」。なるほど、信頼関係はビジネスの基本。これを忘れたらフレーミング効果なんて意味ありません。消費増税で売れなくなったら、まずは信頼を積むことを考えましょう。

 ■殿村美樹(とのむら・みき) 株式会社TMオフィス代表取締役。同志社大学大学院ビジネス研究科「地域ブランド戦略」教員。関西大学社会学部「広報論」講師。「うどん県」や「ひこにゃん」など、地方PRを3000件以上成功させた“ブーム仕掛け人”。

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