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【ぴいぷる】作詞家・阿木燿子「プロの仕事をするには最高のアマチュアでないと」 ドラマチックな詞の世界を生み出す秘密とは? (1/2ページ)

 ■詞の世界の秘密

 “これっきりですか”のフレーズが印象的な山口百恵のヒット曲「横須賀ストーリー」(1976年)。急な坂道を駆け上がったら「今も海が見えるでしょうか」と歌う歌詞は映像が迫ってくるようなリアリティーだ。

 だが、実は「モデルの坂があったわけじゃないの。横須賀に住んでいた私の母は坂道を散歩するのが好きだったけど、人の家の庭もひょいと入って通り抜けちゃうような人で、随分一緒にいろんなところを歩いたわ。そんなイメージなの」。

 作詞家として、夫でもある作曲家、宇崎竜童(72)とのコンビで多くのヒット曲を生み出してきた。

 「最初の1行か、タイトルができるまでが大変。これができたら、後は案外悩まずにスッと書き上がるのよ」と、ドラマチックな詞の世界の秘密を明かす。

 「時折、映画のシナリオを書いているような気になるわ。別れる2人を描くとしても、男がドアをバタンと閉めた音で、テーブルの一輪挿しが揺れるみたいな感じのシーンを書きたいの」

 最近、宇崎との共同作業に変化が生まれた。

 「前は詞が100%先だったの。でも今はメロディーが100%先。主人が『妻があんまりにも苦しむので、僕が背負ってあげようと思って』と話しているのを知って、ありがたいなと。今までメロ先だと『ピンとこない』とか偉そうなことを言ってきたから、反省してるのよ」

 ■山口百恵との縁

 そんな共同作業の結実が、12月12日から東京・新国立劇場で上演される「Ay(アイ)曽根崎心中」だ。フラメンコのリズムで近松門左衛門の「曽根崎心中」を表現する異色の音楽劇。2001年にスタートした「FLAMENCO曽根崎心中」が今回はさらに和楽器も取り入れ、スケールアップした。

 「夫は映画で初主演した『曽根崎心中』で酷評され、私はフラメンコに魅せられたけど上達しない。そんな2人のリベンジが合体したのがこの舞台。何年も曽根崎心中にもフラメンコにも恋い焦がれて、扉をノックし続けているけど、なかなか受け入れてもらえないなと。今でも近松にお前は曽根崎心中をやるだけの価値があるのかと試されている気がします」

 フラメンコでお初を演じる鍵田真由美と、徳兵衛の佐藤浩希は実際の夫婦。ダブルキャストの三四郎と工藤朋子も夫婦。ということで「公演を成功させるためにも、別れられないので、主演の2組には『大丈夫よね』と念押ししておきましたから」と笑顔も。

 徳兵衛役で歌を聴かせる三浦祐太朗の起用も不思議な縁があるという。言わずもがな、三浦は山口百恵の長男だ。

 「徳兵衛役を選ぶためにたくさんのCDを聴いていたんです。で、哀愁のある声で、きちんときれいな日本語で歌えているのでいいなと思ったのが祐太朗さんだった。どこか百恵さんに似ていたんでしょうね。何か因縁を感じますね。近松が導いてくれたようで…」

 ■やる気マンマン

 山口百恵には、数多くの詞を書いてきたが「今でもトラウマになるぐらい大変だった」というのは、「プレイバック Part2」(1978年)だという。

 「パート2っていうぐらいだから、先にパート1があったの。でもシングルには弱いとプロデューサーに言われて、明日中にレコーディングしないと間に合わないって。一晩かかって書き直したけど、今思い出しても、うなされそうだわ」

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