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【ぴいぷる】十朱幸代、咲き続ける人生 初著書で過去の恋愛言及も「冷静に正直に」 (1/2ページ)

 「若いからいいってもんじゃない。年齢相応の魅力はあるんですよ」とベテランカメラマンが言うと、「そういう言葉って救いになります」。ほほ笑んだ瞬間、シャッター音が鳴り響いた。

 その笑顔がすてきだ。カメラマン、うまいこと言いやがる、と彼の“テク”に少々やっかんだ。

 芸能生活60年の笑顔。しかし、この笑顔に至るまで、酸いも甘いもあったことは、それらを正直に書き込んだ初めての著書『愛し続ける私』(集英社)で分かる。

 刷り上がった著書を見て、「筆無精な私が信じられないです。父が亡くなった30年前に一度、本を書いてみたらという話もあって、頭をよぎったのですが、仕事に追われているうちに忘れてしまいました。この出版は最初は事務所の勧めがあってのことですが、私も今この年代になって、夢中で走ってきた時間を振り返ってみるのもいいのかな、と」。

 父とは飄逸(ひょういつ)なイメージと軽妙洒脱な演技で知られた俳優の十朱久雄さん。

 東京タワーが建設中だった1958年、久雄さん出演のNHKドラマのスタジオ見学に出かけたとき、間もなく始まる新企画の番組『バス通り裏』の出演者を探していたプロデューサーからカメラテストに誘われた。そしていきなり「元子」役で出演決定。それが全ての始まりだった。

 数多くの映画、演劇賞を獲得し、いつしかベテラン女優となる。その役者人生の回顧録。構成など周囲と相談しながら、自らも筆をとった。

 「この世界(芸能界)は目まぐるしくて、スピードのある世界です。過去のものを引きずっていては先に進めないから、昔のことは振り返らず、忘れて行こう、捨てて行こうという意識でずっとやってきました。でも、忘れていたと思っていた事柄が突然に蘇ったり、寝ていても『ああそうだった』なんてふっと思い出したり」

 執筆は春から夏に進めた。

 「軽井沢に小さなマンションを持っているので、そこにこもって書いていました」

 少女モデルから突然の抜擢で始まった役者人生だが、演劇の勉強をしていなかったことへのプレッシャー。石原裕次郎さんとの交流は、“いきなり抜擢”という共通項でシンパシーがあったという。悩み多き時代、ベテラン女優からのアドバイスや久雄さんをはじめ、大きな家族愛に包まれていたことも腹蔵なく描いた。

 しかし、この出版で世間の耳目をひいたのは、やはり恋愛に関してだった。小坂一也さんとの出会いから別れまで。20代の初め、15歳からためた貯金をはたいて建てた両親や兄妹と暮らす自宅に小坂さんの部屋があったことに驚く。さらに結婚寸前までいったある男性との話も明かす。

 「恋愛に関しても時間がたっていますから、第三者的ではないけど、しっかりと冷静な意識で書けるということがありました。自分をカッコよく書いてしまうのではなく、せっかく自分を振り返るのだから、正直な視点で書いたつもりです。筆にためらいはありませんでした」

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