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【ぴいぷる】俳優人生30年 香川照之、善から悪まで「“全部の人間性”持ちたい」 (1/2ページ)

 すごみのある演技で人々を魅了する名優だ。今年で俳優人生30年になる。

 「あっという間でした。いい時代も悪い時代もありましたが、『俳優とはどういうものか』という定義がどんどん変わってきました。はじめは芝居をすることだと思っていたのですが、俳優にとっては、芝居をしないことが一番いいことなのだと」

 芝居をしないとは?

 「自分自身になるってことですね。役を演じながら、自分自身を取り戻していくんです。役やセリフは嘘なのだけど、それを使いながら本当の気持ちを出すんです」

 セリフに乗せて、普段は出せない心情を吐露し、それによって自分を取り戻すということだろうか。

 「普段言えないこともそうですし、感じなくてはいけないのに感じられなかったこと、本来なら逃げ続けられたようなことに対して、ざんげをさせられるのが、芝居ですね」

 フィクションの世界でも命がけでやるのが、彼の流儀だ。

 「映画なんてなくても地球はまわるもの。どうでもいいものを命がけでやることによって、はじめて“どうでもよくないもの”に昇華するんです」

 今作でも、鬼気迫る芝居を披露している。2月1日公開の野村萬斎主演の映画「七つの会議」では、結果第一主義のモーレツ営業部長を演じている。原作は作家・池井戸潤氏の同名小説で、「半沢直樹」「ルーズヴェルト・ゲーム」「下町ロケット」「陸王」といった池井戸作品のドラマを送り出してきた福澤克雄氏が監督を務める。

 「企業ものを撮らせたらナンバーワンの福澤監督の新作ですから、ぜひ見ていただきたいです」

 中堅メーカーの営業一課のぐうたら社員、八角民夫(野村萬斎)は、自分の怠惰ぶりを叱責した課長の坂戸(片岡愛之助)をパワハラで訴え、坂戸は異動処分になってしまう。不可解な裁定に社員たちは揺れるが、そこには会社員たちの人生、そして会社の存在をも揺るがす、ある秘密があった。

 「熱くて、現代の日本の大企業が持っている問題点をえぐっている作品です。すべての会社員が自分の問題として置き換えて考えられるのではないでしょうか」

 会社員でいると、これは正しいことなのかと迷いながらも、会社の命令だからといって業務を遂行してしまうことも、時としてあるだろう。「働くこと」の正義を問う作品だ。

 ベテラン俳優でありながら、撮影現場ではスタッフ、共演者が「今日、この現場に来てよかった」と思ってもらえるように貢献したいと考えているという。

 「エキストラの人は、1日中、時間を拘束されますしね。『今日はこういう面白いことがあってね』と、人に話せるようなことを1つでも持って帰ることができるようにするのは、俳優側の責任としてあるような気がします」

 エキストラの人たちに声をかけることはもちろんのこと、自ら芝居をつけることもあるという。

 「エキストラがぼーっとしているのか、ガーッと集中しているのかで、絵が変わってきますしね。新人の助監督の説明では、エキストラが分からなくて時間がかかってしまうこともあるので、そんなときは僕がエキストラの人たちに、『今はこういうシーンだから、みなさん、こうしてください』って言うと、現場も早く進むし、エキストラの人も楽しくなるので、一石二鳥の効果があるんです」

 なんともぜいたくな現場だ。

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