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【ぴいぷる】衰え知らずの創造クリーチャー! 絵画の原点はダリ、音楽の原点は「フォークの神様、岡林信康さん」 特殊メークアップアーティスト、スクリーミング・マッド・ジョージ (1/2ページ)

 今では日本人のハリウッド進出は珍しくないかもしれない。俳優の渡辺謙さんや昨年、日本人で初めて米アカデミー賞メーキャップ&ヘアスタイリング賞を受賞した辻一弘さんらを筆頭に映画の本場で認められた逸材は少なくない。だが、今から30年以上も前から、ハリウッド映画人を驚かせてきた特殊メークの日本人アーティストがいる。

 13年ほど前に帰国し、現在は大阪芸術大学で絵画や立体造形などの製作に取り組む。その生涯の創作活動をたどる個展「スクリーミング・マッド・ジョージ展」(来月16日まで)が、大阪芸術大学スカイキャンパス(あべのハルカス24階)で開催されている。

 「私の創作の原点? 中学時代、画家ダリの作品と出合い、そのシュールレアリスム(超現実主義)の世界に衝撃を受けました」

 画家を志し高校のデザイン科に進学。個展では、高校1年のときに描いた絵画から、ハリウッド時代の造形物、近作の立体造形までが一堂に集められ、会場の壁面や床を埋め尽くす。

 高校時代は漫画家に憧れ、オリジナル漫画の自信作を手に漫画家の仕事場を訪ね歩く。作品の完成度に驚いた漫画家、高信太郎さんから「弟子入りするか」と言われるが、「僕は渡米します」と断った。「無謀な高校生ですよね」と苦笑した。

 高校卒業後、ダリのような画家を目指し、ニューヨークの名門芸術大学「スクール・オブ・ビジュアル・アーツ」に進学し、本格的に絵画を学ぶ。

 「英語が苦手で合格点に達していなかったのですが、これまで描いた私の作品を見て、合格させてくれたんですよ」

 大学1年の前期に製作した作品を審査した講師陣の推薦で、いきなり2年に飛び級。奨学生に選ばれ、奨学金を受けるなど、その鬼才ぶりは米国でも異彩を放った。

 大学3年の頃、狼男を描いたホラー映画「ハウリング」を見て再び強い衝撃を受ける。満月の夜、男が狼男に変身する特殊メークに影響を受け、絵画から浮かび出る顔を立体で表現するなど実験的な創作に挑み始める。

 「常に他の人がやらないような自分にしかできない新たな芸術を目指していた」と振り返る。

 2次元の絵画から3次元の立体へ。創作の幅は際限なく広がり、映像製作も手掛けるようになる。その映像作品が、マイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージックビデオの製作で知られる特殊メークの重鎮リック・ベイカーの目にとまり、ロス進出の機会を得た。

 「ロスの工房で特殊メークやクリーチャー(怪物などの造形物)の製作を見よう見まねで手伝っていた」ところへ、大きなチャンスが舞い込む。

 「いきなり新人の私に、映画で使う特殊スーツを一体作ってくれ、と依頼がきたんです。そんな重要な仕事を任せて本当にいいの、と一番驚いたのは自分自身でしたよ」

 世界中でヒットしたホラー映画「ポルターガイスト2」。その中で登場するクリーチャーの製作を任されたのだ。若い日本の青年に声をかけたのは、傑作「ゴーストバスターズ」の特殊メークなどで知られる巨匠スティーブ・ジョンソンだった。

 以来、「プレデター」や「エルム街の悪夢4」などヒット作に登場するクリーチャーの造形などを次々と手掛ける。その斬新な創作手法は、ハリウッド映画に大きな影響を与えてきた。

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