zakzak

記事詳細

【サム・ペキンパー監督 バイオレンスの系譜】監督が二転三転したうえ、主演のマックイーンが“わがままぶり”発揮 「ゲッタウェイ」(1972年)

 サム・ペキンパーらしい激しい銃撃戦で知られる『ゲッタウェイ』。だが完成までにはやはり紆余曲折があった。

 企画段階ではサミュエル・フラーが監督する予定だったが、製作段階でピーター・ボグダノビッチに変更された。さらに二転三転し、ペキンパーに落ち着いたという。

 主演もシビル・シェパードの予定からスティーブ・マックイーンに変更されたが、さまざまな問題を起こすことに。

 マックイーンはわがままを言いだし、脚本を担当した原作者のジム・トンプソンを降ろさせた。結末が気に入らないのがその理由。代わりにウォルター・ヒルを指名。音楽担当をクインシー・ジョーンズに変えたのは、この映画にふさわしいのはジャズだとの理由だ。

 テキサスのサンダースン刑務所から出所したドク・マッコイ(マックイーン)。銀行強盗で10年の刑だったが、4年で出られたのにはわけがあった。密かに地元の実力者ベニヨン(ベン・ジョンソン)と取引したのだ。条件は町の銀行を襲い、金を山分けすること。

 ベニヨンは2人の殺し屋ルディとジャクスンを雇い、銀行強盗を実行する。襲撃は成功したかに見えた。だがルディは足手まといのジャクスンを射殺する。ドクはルディが金を独り占めするつもりだと見抜きルディ、そしてベニヨンも撃つ。

 そして妻のキャロル(アリ・マッグロー)と逃走。指名手配を知り、列車に乗り換えてエル・パソを目指す。防弾チョッキのおかげで助かったルディらはドグを追跡。ホテルでドグを見つけ銃撃戦となる。ドグのショットガンが火を噴き、敵を次々と倒す。そして通りかかった老人から3万ドルでトラックを買い取り国境へ向かうのだった。

 当初監督はマックイーンのわがままが気に入らなかったため、本当は別のラストシーンがあったのではとの噂も流れた。

 荒々しい車の運転シーンはスタントマンでなくマックイーン自身が行っている。またマックイーンがマッグローを殴るシーンは監督のアドリブ。しかしこれが縁で、結婚している。

 アメリカでは公開前からヒット間違いなしと言われていたがふたを開ければ「ポセイドン・アドベンチャー」の後塵を拝してしまった。1994年にアレック・ボールドウィンとキム・ベイシンガーの主演でリメークされている。 (望月苑巳)

 ■サム・ペキンパー 映画監督。1925年2月21日生まれ、米カリフォルニア州出身。55年、テレビドラマ『ガンスモーク』で脚本家、監督デビュー。映画の監督デビューは『荒野のガンマン』(61年)。84年12月28日、心不全のため59歳で死去。

関連ニュース

アクセスランキング