カメラ技術の戦国物語 ショッキングなソニーへのくら替え「まさかこんな流れになろうとは」 (1/2ページ) 大鶴義丹 それってOUTだぜ!
プロの映像関係者と関わることが多いこともあり、私自身もいつの間にか無駄にこだわった「写真カメラ」や「ビデオ機材」を買いそろえるほどのマニアになっていた。
昨今のスマホのカメラの進化はすさまじく、マスメディアの取材でも、カメラマンが同行せずに記者がスマホで撮影することも多い。
その理由は「HDR(ハイ・ダイナミック・レンジ)」という機能のおかげであり、その昔はプロの真骨頂であった光や色の調整をアルゴリズムで行い、いかにも「プロっぽい」映像をご丁寧に作ってくれるのだ。
つまり、決して撮影者の腕が上がったのではない。しかし、その映像は一昔前のプロ級そのものであり、スマホで十分といわれるのも当然であろう。
しかし、それ以上の自由な撮影を求めるのならば、やはり本格的な一眼レフカメラの世界となる。
特別の興味がない方にはまったく知られていないことだが、ここ10年、カメラの世界もメーカーとその技術が群雄割拠する「血みどろ」の時代であった。そしていよいよ決着しようとしている。
その激しい時代を象徴するかのように、つい最近も新聞に、とある記事が載っていた。
「ニコンが巨額赤字」
カメラの世界に少しでも興味がある者にとっては、「ニコン」という響きはハイエンド的なアイコンであった。
キヤノンとともに2強といわれ、ニコンを絶対的に信奉しているプロカメラマンも数多い。
だがここ数年、若いプロカメラマンたちに共通する動きがあった。それは、ニコンやキヤノンなどから、ソニーへのくら替えである。
昭和から平成の映像業界を少しでも知る者にとって、現役のプロ写真家がソニーのカメラを当たり前のように使い出すということは、かなりショッキングな流れである。
私たち世代にとって、ソニーというのは決してカメラ屋さんではなく、ビデオ屋さんなのである。だから、今のような時代を誰も想像もしていなかったといってもいいだろう。
技術的なことを大ざっぱに説明すると、デジタル映像においては、写真もビデオ動画のなかの一瞬でしかなく、その点において、フィルム技術がベースであるカメラ屋さんが、ビデオ屋さんにかなうわけがないということらしい。
さらに、ソニーはコニカミノルタという老舗のカメラ屋さんを早々に飲み込んでもいる。