【エンタなう】アニメで描く北朝鮮収容所の過酷な現実 映画「トゥルーノース」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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アニメで描く北朝鮮収容所の過酷な現実 映画「トゥルーノース」

 “地上の楽園”と喧伝された北朝鮮に帰還した日系家族が突然、政治犯強制収容所に送られる。絶望の淵にありながら仲間とともに過酷な毎日を生き抜く様子を描いた映画「トゥルーノース」(公開中)は、涙なしでは見られない。重い現実を暖かみある3Dアニメの寓話としたことで、万人の心に響く作品に仕上がっている。

 1960年代の帰還事業で日本から北朝鮮に移民し、平壌で幸せに暮らすパク一家。ある日、父が失踪。残された家族が全員、荒れ果てた政治犯強制収容所に送られる。過酷な生存競争の中、主人公のヨハン少年は次第に優しい心を失い、看守に密告し、仲間を売るようになる。一方、母と妹は人間性を失わず、命の危険にさらされる様子を見て、ヨハンは我に返る。そして、収容所の仲間と小さな狼煙をあげる-。

 実写ではなく、ディズニーやピクサーのようにツルっとした精緻なアニメでもない。折り紙状にカクカクした素朴な作画としたことに意味がある。ホラー映画より酷い実態の見た目を和らげつつ、牧歌的な光景なども挟みながら観客を“目撃者”としてエンドロールまでつなぎ止めている。現に12万人いるといわれる政治犯が公開処刑や拷問、陵辱にさらされる日々は十分伝わってくる。

 在日コリアン4世の清水ハン栄治監督は、10年がかりで自ら多くの聞き取り取材を行い、脚本も手がけた。日本人拉致被害者も登場する。世界のだれにとっても他人事ではない。(中本裕己)

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