【エンタなう】仏人監督が描く小野田寛郎を追体験した果ての虚無感 映画「ONODA一万夜を越えて」 - zakzak:夕刊フジ公式サイト

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仏人監督が描く小野田寛郎を追体験した果ての虚無感 映画「ONODA一万夜を越えて」

 終戦を知らされないまま約30年間、フィリピン・ルバング島で秘密戦の任務を全うした帰還兵、小野田寛郎少尉。フランスの新鋭アルチュール・アラリ監督は、壮絶な孤独と戦う男の映画「ONODA一万夜を越えて」(公開中)として描いた。

 終戦間近の1944年、陸軍中野学校二俣分校で暗号解読・諜報などの特殊訓練を受けていた小野田(遠藤雄弥/津田寛治)は、劣勢のルバング島で援軍が戻るまでゲリラ戦を指揮するよう命を受ける。出発前、谷口教官が最重要任務を言い渡す。「君たちには、死ぬ権利はない。玉砕は一切まかりならぬ。3年でも5年でも生き延びろ」。この言葉が呪縛のように、小野田に襲いかかる。

 芝居巧者のイッセー尾形が演じる谷口教官は慄然とするほどの威厳があり、魂が抜けたような戦後の様子とのギャップが実に象徴的だ。そして、その間も小野田の戦争は続いていた。

 過酷なジャングルでは飢えや病気が襲い、仲間は次々と倒れ、離れてゆく。最後まで一緒だった小塚金七(松浦祐也/千葉哲也)とは何度もいさかいを起こしながら二人三脚で鼓舞し合うが、小塚も奇襲を受け命を落とす。小野田は1人きりで、いく夜も淡々と潜伏する中、74年に旅行者を名乗る青年・鈴木紀夫(仲野太賀)と出会う。

 極限状態の追体験となる約3時間。忠実なドキュメントではなく、反戦を声高に叫ぶわけでもないが、見終わった頃には、言いしれぬ虚無感に襲われる。 (中本裕己)

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