zakzak

記事詳細

【ぴいぷる】女性初!バックギャモン世界選手権2回優勝・矢澤亜希子さん 長所は「自分を俯瞰できること」 (1/2ページ)

 ■紅海で深みにハマる

 世界最強の女王はこの夏、モンテカルロで行われた「第43回バックギャモン世界選手権」で、2014年に続く優勝を果たした。女性としても日本人としても、2度目は初の快挙だ。

 「8戦全勝で決めました。大会の直前にテレビ(テレビ朝日系『激レアさんを連れてきた』)に出演して紹介されたおかげかな。モチベーションが高まって、プレーの精度がより上がりました」

 バックギャモンは、世界で3億人以上が親しんでいるボードゲーム。サイコロ2つを振り、15個の持ち駒でゴールを目指す“西洋すごろく”だ。一見単純に見えても、“相手の駒が2個以上あるマスには進めない”“相手の駒が1個あるマスに進むと相手の駒がふり出しに戻る”などのルールが、様々な戦略を生む。

 ゲームに魅入られたのは大学生のとき。「当時はスキューバダイビングにはまっていて、世界7つの海を制覇してみたいと紅海に行ったとき、出合いました。古代エジプトで発祥したゲームなんです。簡単なルールだからすぐに勝てたけど、うまくいかなかったり、分からないことがあるとモヤっとして、そこからは徹底的に追究しちゃう性格が出てしまって…」

 中東ではお茶を飲みながらの社交ツールとして楽しまれているが、いったんやり始めれば徹夜も上等。のめり込む生活が始まった。プロ相手の大会に初挑戦したのは2003年ラスベガス。「初級クラスに出たら、みんながすごく弱く感じて。それなのに決勝では不運が続いて、負けてしまった。悔しかったなぁ」

 ■勝率5%から大逆転

 その敗戦がモチベーションに火を点けた。“もう負けたくない”。国内外のタイトル戦で腕を磨き、14年の世界選手権でついに決勝まで進んだ。

 「好きな目は1と2。普通は、一番多く駒を進められる6・6(ゾロ目は出た数の倍、駒を動かせる)なんですけどね。14年の決勝で勝率5%の状況まで追い込まれたとき、背水の陣で出した目が1と2。合わせて3マスしか駒を動かせない、言ってみれば最弱の目なのに、その局面ではベストでした。それが大逆転優勝につながったんです」

 ピンチをチャンスに変える土壇場の底力は、人生でも発揮されている。12年に子宮体がんが見つかり、手術ののちに化学療法。ところが抗がん剤治療中の13年にも世界選手権に参戦、フラフラの状況でも飛行機に乗り、決戦の地へ向かった。

 「病気の治療っていうのは、要は生きるためにやってること。安静にしているのも大事ですけど、やりたいことをできずにただ生きてるのは、死んでることと同じだと感じて。もちろん、リスクはありましたけど」

 “攻めて”病を乗り越えて、今では術後5年を過ぎ、健康な日々を送れている。ゲームへの意欲はますます高まり、かつ冷静な目で頂上をとらえている。将棋やチェスと同様にAI(人工知能)の波が押し寄せてきてもスタイルは変わらない。

 「PCソフトは上達への効果的なツールだと思いますが、コンピューターが選択するアクション(指し手)に実戦でこだわると、その局面だけにとらわれてしまう。ゲームでは、対戦相手の特徴に目がいっていないとダメですから。たとえ最善手でなくても、相手の苦手な展開に持っていくことが必要なんです」

関連ニュース

アクセスランキング