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【ぴいぷる】ボケ防止にはアウトプット! イグ・ノーベル賞ドクター新見正則さん「自分の考えを吐き出すんです」 (1/2ページ)

 効き目が五分五分という薬は飲まない方がよい。肉親や自身の延命治療に迷ったら、「先生ならどうする?」と逆質問して最善策を教えてもらえと指南、大病もいつか寛解すると豪語する。

 「だって人間、いつかは死ぬ。死ねばどんな病気も治りますよ」

 万事がこんな調子。歯に衣着せぬ物言いで患者や家族に慕われている。

 「現代医学でもまだエビデンス(証拠・根拠)が定まったわけじゃない。例えば、血圧は低けりゃいいってものじゃないんです。上の値は心臓の収縮期の数値で、ウンチやセックスなど運動とともに上昇するのが自然。で、運動をやめたら下降するなら何の問題もありません。けれど下の値(拡張期)が高いのは問題。車なら止まっているのにエンジンの回転数が下がらない状態で、これは改善すべきです」

 健康志向、健康オタクに「あいまいな情報に踊らされるな」と活を入れ続けている。では究極の健康法はというと、「ボケないこと。レジリエンスの大事さを知ること」と断言する。

 レジリエンス? もとは心理学用語。苦痛やストレスにうまく適応し、かつ耐えながら、精神力を回復させる能力のことだ。病気と折り合いをつけ付き合い、回復の機をうかがうのもその一つという。

 今でこそポンポンと小気味良い言葉が口をついて出るが、子供の頃は重度の吃音だった。それがあることをきっかけに解消されていく。

 父は発明家で収入源の一つは浄化槽の特許料、小学生のころは貧乏のどん底を体験した。米屋などの借金取りをかわす役目を任され、「今、両親はいません」とうそを言う。給食費も払えなかったから「忘れました」と、これまたうそをつく。何度も繰り返すうち、うそをつくときは吃音が出ないことに気がついた。

 「暗記したものはすらすら言えるんだと分かりました。それに追いつめられると人間はうそでその場を逃れようとする、と。言葉には裏があると知りました」

 この経験は“患者もうそをつく”という信念につながっていく。

 例えば、「最近体調が悪くて」と訴える患者の言葉をうのみにせず、「裏に夫婦関係のこじれがあるのでは」などと疑ってみる。「旦那のわら人形でも作って呪いをかければ」と冗談めかして誘導すると、「まぁ、そこまで恨んでませんしねぇ」との返事。こんな風に夫婦間、家庭内の問題が背景にあったりする。

 「環境は健康にとっても大事ですね。僕も母があんなに明るく寛容な人でなかったら、もっと吃音に苦しめられたでしょう。でも母はいつも穏やかに耳をそばだてて聞いてくれた」

 中学時代、全国のユースホステルに泊まりながら日本一周、大学生のときは宿も決めない世界一周貧乏旅行。

 「母は『行っといで』と心配顔も見せずに見送ってくれました。僕は僕で、一人旅なんかを通して、吃音なら一人で遊べばいい、人前に無理に出なくてもいいんだと思い至った。そうしたら、全然言葉に詰まらなくなったんです。ありのままの僕を受け入れてくれた母のおかげですね」

 その母は2014年、95歳で亡くなった。

 「認知症を患ってね、切なかったな…。だから患者には声を大にして言うんですよ。ボケるなってね。方法? インプットよりアウトプットすること。本を読んだら誰かに感想を話す。井戸端会議大いに結構、自分の考えを吐き出すんです」

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