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《zak女の雄叫び お題は「無題」》バケツで田植え

 なんだろう、この草は。ニラ? 青ネギ? 食卓の上に見慣れない植物がおいてあった。使用済みの牛乳パックを植木鉢代わりに、敷き詰めた土から10本ほど、細長い葉がひょろりと顔を出している。

 持ち主は小学5年の長男だった。

 「学校で種籾から育てたの。田植えするからバケツ買って」

 バケツなのに“田植え”かい?! 水田を知らない都会っ子をふびんに思った。

 私自身、子供時代を東京と大阪で過ごし、田園に囲まれて育ったわけではないが、祖父母が岩手に住んでいたため、夏休みには田んぼのあぜ道に座り込み、一日中、遊んだ記憶がある。

 オタマジャクシ、カエル、ドジョウ、コブナ、エビ-。水辺の生き物を観察したり、手づかみしたり。息子が好きなスマホでポケモンをゲットするゲームより、ずっと楽しいはずだ。

 田植えだって、広い田んぼに腰を曲げて何株も植えるからこそ、米作りの大変さが身にしみる。

 そう思うのは、独身のころ、取材で棚田のオーナーになったことがあるから。

 田んぼを整備する「代かき」から始まり、梅雨時の田植え、夏場の草刈り、秋の刈り取り、脱穀まで。農家の方に助けてもらいながら自分で育てた米は、形はいびつだったけど一粒一粒おいしかった。

 子供に本物の稲作体験を-。そう考える私みたいな親は多いようだ。

 東京からそれほど遠くない千葉や埼玉、神奈川で、日帰りの稲作体験をさせてくれる農家とマッチングしてくれるネットサービスが人気だ。予約はすぐに埋まってしまい、申し込むタイミングを逃してしまった。

 今年はマンションのベランダで、バケツ稲作から始めよう。か細い早苗から、おにぎり1個を目標に。(し)

【zak女の雄叫び】取材や日常…。女性記者21人が月ごとのキーワードで本音を綴るリレーコラムです。6月のお題は「無題」です。

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