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【ぴいぷる】映画監督・野伏翔が拉致被害者家族を描く「めぐみへの誓い-奪還-」 映画という“武器”で北朝鮮と対峙 (1/2ページ)

 ■政治問題ではなく「自分の問題」として考えてほしい

 平成が終わり、新たな時代が始まろうとする今も、昭和時代に起きた拉致問題を解決できないでいる現代日本。そんな現状を憂う民間の有志らが昨年10月から、新たな試みを始めた。

 拉致被害者、横田めぐみさん(54)=拉致当時(13)=や田口八重子さん(63)=同(22)=ら被害者の北朝鮮での苦闘、被害者家族らの救出運動を描いた演劇「めぐみへの誓い-奪還-」の映画化だ。同作の脚本・演出家として、実現に向けて奔走している。

 「これまで拉致問題を取り上げたほかの作品と違うのは、現在の北朝鮮にいる被害者の生活を描いていることです。それがないと、大昔の誘拐事件と若い人が認識してしまいますが、今も監禁されている現在進行形の事件と伝えるため、北朝鮮の現実を描いたことが共感を得ています。それを数多くの人に知らせるため、映画化を考えました」と語る。

 組織的な支えもなく、いわゆる草の根の活動だ。1口2000円からのカンパを募り、製作資金を集めている。

 作品の上演当初も、今と状況は似ていた。

 5人の拉致被害者が帰国した2002年、「こんな大問題があるのか」と衝撃を受けた。講演会に行ったり、専門家や脱北者の話を聞いたりして、「単なる知識や情報ではなく、肌身で感じて自分の問題として扱ってもらうため、ドラマにしよう」と脚本を書き始めた。

 10年の初公演の際には、「チケットを劇団のみんなが手売りで売りました。それで2000人ずつを集めました」。一劇団から始まった動きはやがて、政府の目に留まり、16年からは政府拉致問題対策本部主催の啓発舞台劇として全国各地で上演が続いている。

 無法国家の工作員らの侵入を許し、その結果としてさらわれた日本人を取り戻す。本来単純なはずの拉致被害者救出運動は、政治問題として受け止められる傾向があるが、「拉致問題は政治的な問題ではない。『自分の子供がさらわれたら、どうするのか』という問題なんです」と話す。

 これまでも社会性の強い作品を手がけてきた。

 大学在学中に文学座演劇研究所に入り、その後は映画の予告編を制作する会社に勤めるも、「自分で演出をやりたい」と考え、劇団夜想会を立ち上げた。

 夜想会では「リア王」などシェークスピア作品などに加え、オリジナルの作品も上演した。「既成の本でやりたいものがなくなったので、自分で書き始めました」と振り返る。

 広島で被曝し、治療のため渡米した女性を描いた「愛と不安の夏~原爆乙女たち・愛と勇気の軌跡~」や、石原慎太郎元東京都知事の原作をもとに特攻隊を取り上げた「俺は君のためにこそ死にに行く」などは自ら脚本を書き、演出した。

 そうした作品のなかで、「めぐみへの誓い」は特異な反応があったという。「観客の皆さんの泣き声が聞こえるし、『頑張れ』という拍手が異常に強い。出演者も舞台で感じているようです」と話す。

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