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金正恩氏、露との交流行事蹴って帰国…その胸中は?

 【ウラジオストク=小野田雄一、ソウル=桜井紀雄】ロシア極東ウラジオストクを訪れた北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は、プーチン露大統領との夕食会で「抗日闘争」まで持ち出し、露朝の結束を誇示した。だが、翌日には地元が準備したイベントの大半を蹴って早々に帰国する冷淡さを見せた。まるで目的は関係強化でなく、大国ロシアに支持される指導者像を内外に印象付けることだったかのようだ。

 「両国人民は抗日大戦の共同闘争の中、戦友の情で結ばれ、赤軍将兵らは朝鮮解放のため、自らの血を惜しみなくささげた」

 北朝鮮国営メディアは26日、金氏が25日のプーチン氏らとの夕食会で、第二次大戦での旧ソ連軍の貢献をこうたたえたと報じた。

 両首脳は伝統の刀剣を贈り合った。金氏は「(刀剣は)絶対的な力を象徴する。あなたを支持する私とわが人民の心を込めた」とプーチン氏に説明。対米非核化交渉が停滞し、国際社会による制裁が続く中、“後ろ盾”としてのロシアへの期待を強くにじませた。

 プーチン氏からは「ロシアは朝鮮半島の緊張を解消し、地域の安全を強化するため、協力していく用意がある」との言質を得た。

 一転して翌朝、予定されていた行事が「北朝鮮側の都合でキャンセルされた」と露当局から報道陣に知らされた。金氏による献花が予定されていた戦没者慰霊碑の周辺では、交通が規制され、儀仗(ぎじょう)兵も整列していた。結局、献花は約2時間遅れで行われた。報道陣が事前に殺到したため、警護上の理由から一時見合わせたとの見方もある。

 一方で、露メディアによると、水族館視察や観劇など他に予定されていた大半の行事は中止になった。水族館は視察に備えて営業時間も変更されていた。キャンセル理由は明らかにされていないが、金氏をもてなすために地元が準備してきた日程を「北朝鮮の都合」で無にしたことになる。

 北朝鮮の党機関紙、労働新聞は26日、金氏とプーチン氏が乾杯する場面など写真をふんだんに掲載し、露側の歓待ぶりを大々的に伝えた。北朝鮮メディアが金氏の訪露に関して報じるのは4日連続。2月のベトナム・ハノイでの米朝首脳会談の物別れ後、国内に失望感が広がっているとされる中、今回の訪露は、祖国のために外交に邁進(まいしん)する最高指導者の姿を喧伝(けんでん)するという目的は果たせたようだ。(産経新聞)

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