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パタハラ回避で50代が転勤? カネカ騒動が示した“辞令と家族”のリアル (1/2ページ)

 日本有数の化学メーカー、カネカの元社員の妻のTwitter投稿で広がった「パタハラ(パタニティ・ハラスメント)」騒動。2週間近くがたち、事態は微妙な方向に進んでいます。

 妻のアカウントの過去の書き込みに「夫の起業準備」をうかがわせる記述があり、逆炎上しているのです。

 事の発端がTwitterですし、カネカ側の対応もWebサイトで展開されるなど、全てがネット上の情報なので、まったくもってわけが分かりません。が、ある意味、“これぞSNS”なのかもしれません。

 事実は一つしかありませんが、受け手が変わり視点が違えば、自ずと真実は様変わりします。人は観念の生き物なので、見えるものを見るのではなく、見たいものを見る。それは「人間の業」でもあります。

 ただでさえSNS上の情報は、事実の「一部」が切り取られたものですから、受け止め方はどうにでもなる。さらに、“そこに書かれた言葉”に皆が一斉に反応し、瞬間湯沸かし器的に真実がまるで一つかのごとく広がっていきがちです。

 でも、人が人である限り、誰が正しくて誰が間違いということはなく、人の数だけ「真実」は存在するのです。

 ただし、「事実」は一つ。今回の事例では「ある男性会社員が育児休暇を取り、その直後に転勤を命じられ、退職した」という事象はまぎれもない事実です。それ以上でもそれ以下でもありません。

 過去の投稿が明らかになり、元社員の妻をディスるコメントも散見されますが、カネカの初期対応はこのご時世で「適切」とは言い難いものでした。同社の株価が一時下落したことから鑑みても、その代償は大きかったとしか言いようがありません。

 カネカを批判する人、その後、擁護に回った人それぞれですが、個人的には今回の事案で、「転勤」という、本来であれば個人の成長につながる貴重なリソースが、リソースとして機能していないことを、とてもとても残念に思いました。

 と同時に、転勤問題は「育児」とセットで論じられがちですが、「介護」問題とも隣接していることを忘れてはいけません。ところが、前者は盛り上がっても、後者はいまひとつ盛り上がりに欠ける。誰もが老いるし、誰もが介護問題に直面するのに、介護問題は「冷たい雨に降られた人にしか、本当の冷たさが分からない」というリアルが、そうさせるのです。

 そこで、今回はあえて「介護と転勤問題」を取り上げます。どうか「自分はまだ関係ない」という方も一緒に考えてください。

 ◆ベテラン社員の“隠れ介護”と転勤

 親の介護問題が現実味を帯びる50代の会社員にとって、抜き差しならぬ事実があることを教えてくれたのが、某大企業に勤める男性です。

 男性いわく、「新手の追い出し部屋」とも思われる人事が、ベテラン社員の転勤の背後に存在するというのです。

 「うちの会社では50歳以上は本来、早期退職か、賃金減額でそのまま60歳まで働くか、賃金維持で転勤や出向を受け入れるか選ぶようになっていました。ところが、最近は先に転勤させ、そこで賃金減額か退職を選ばせようっていう魂胆が見え見えの人事が横行しているんです。つまり、本人が選択する年齢に達する前に転勤させてしまえば、転勤させたまま減額することが可能になります。

 でもね、問題は、ベテラン社員にとってこの人事が“単なる転勤”ではないのを会社が分かろうとしないことです。

ITmedia ビジネスオンライン

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