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中国共産党を礼賛する不思議な議論 日本のデモと香港民主派の宣伝活動は違う!

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 いよいよ、今週末はG20(20カ国・地域)首脳会合です。私も大阪へ出張し、金曜日(28日)のニッポン放送「飯田浩司のOK!COZY UP!」(朝6-8時)は現地からお送りします。

 そのG20首脳会合で、提起されそうな議題の1つが香港での大規模デモです。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対するもので、マイク・ポンペオ米国務長官が明言しました。

 さて、この大規模デモについて、日本国内ではとても不思議な議論が行われています。

 一部のメディアや個人が盛んに「中国共産党は、香港の民意を受けて『逃亡犯条例』改正案を事実上撤回したが、日本政府はデモや住民投票の民意を一顧だにしない」と主張しています。「どちらが民主社会なのか!」と批判する向きもあります。

 ちょっと待ってほしいんですよね。デモで政策を変えようとするという意味では、香港と日本の反対運動は同じかもしれませんが、中身はまったく違います。

 香港の民主派はデモだけでなく、海外に向けて、さまざまな宣伝・工作活動を行っていました。

 日本には5年前の「雨傘革命」の中心人物だった周庭(アグネス・チョウ)さんが来て、記者会見やシンポジウム、デモで世論喚起しました。

 米ホワイトハウスの請願サイトでは、改正案に関係した中国人・香港人の「ビザ・居住権の剥奪」を訴えました。この請願は30日以内に10万人の署名を集めると、ホワイトハウスは検討して、60日以内に回答しなくてはなりません。

 この請願と呼応するように、米上下両院の超党派議員が2日後、「香港人権・民主主義法案」を議会に提出しました。法案は、香港に十分な自治権があるかを国務省に毎年検証を義務付けるほか、「逃亡犯条例」改正案に関わった人物の「米国内資産凍結」などの制裁も盛り込みました。

 これ、中国共産党のエリートには、大きな打撃なんですね。せっかく苦労して米国に逃した資産が、使い物にならなくなるわけですから。

 こうした工作とデモの力が重なって、「逃亡犯条例」改正案の審議延期までこぎつけたのです。「デモの力」だけでなく、「米中対立の地政学的状況」や、「自由」「民主」「法の支配」という理念の面での裏打ちという、重層的なアプローチがあったわけです。

 そもそも、中国共産党に民意を受け入れる素地があれば、なぜ北京にあれだけ長い請願の列が続くのか? なぜ、海外の人権団体から批判され続けているのか?

 日本政府を批判したいあまり、「民主主義」や「法の支配」を踏みにじる強権的な政府を礼賛するのは、民主主義の危機以前に「言論の危機」とは言えないでしょうか?

 ■飯田浩司(いいだ・こうじ) 1981年、神奈川県生まれ。2004年、横浜国立大学卒業後、ニッポン放送にアナウンサーとして入社。ニュース番組のパーソナリティーとして、政治・経済から国際問題まで取材する。現在、「飯田浩司のOK!COZY UP!」(月~金曜朝6-8時)を担当。趣味は野球観戦(阪神ファン)、鉄道・飛行機鑑賞、競馬、読書など。

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