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米朝“電撃会談”全舞台裏 金正恩氏の窮地を救ったトランプ氏 孤立する韓国・文政権 (1/2ページ)

 ドナルド・トランプ米大統領は6月30日、南北軍事境界線がある板門店(パンムンジョム)で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と約50分間会談し、現職の米大統領として初めて北朝鮮側に越境した。ツイッターから実現したとされる電撃会談の背景には、2月の米朝首脳会談決裂後、北朝鮮国内で守旧派が台頭し、6月のイラン沖・ホルムズ海峡付近でのタンカー攻撃でさらに勢いを増したことがあるという。トランプ政権は、正恩氏の求心力を維持させ、「非核化」と「中国からの離脱」の実現を狙ったとの解説もある。日本人拉致問題への影響と、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が直面した深刻な孤立化とは。舞台裏に迫った。

 正恩氏「(トランプ氏の)ツイートを見て本当に驚いた。1日でこういう対面ができることが分かった」「(トランプ氏の越境は)英断だ」

 トランプ氏「この境界線を越えたことは歴史的瞬間だ。(正恩氏が)もし現れなかったら気まずかった。ありがとうと言いたい」

 米朝両首脳は6月30日午後、板門店での再会の意義を、こう強調した。

 トランプ氏が、ツイッターで対面を呼び掛けたのは前日朝。「来年の米大統領選に向けた選挙運動」という見方もあるが、2月にベトナムの首都ハノイでの米朝首脳会談が決裂してから、停滞状態にあった非核化協議を再起動させる思惑があったのは確かだ。

 日米情報当局関係者は「2月以降、米朝両国は外交当局を外して、情報当局による水面下交渉を進めてきたが難航していた。北朝鮮国内で、正恩氏の祖父、金日成(キム・イルソン)主席や、父の金正日(キム・ジョンイル)総書記に仕え、『先軍政治』を主導した守旧派の朝鮮人民軍幹部が力を取り戻しつつあった。北朝鮮の反体制派臨時政府とされる『自由朝鮮』の動きもあり、正恩氏の求心力が落ちていた」と語る。

 こうしたなか、正恩氏は4月の最高人民会議での演説で、3回目の米朝首脳会談に意欲を示し、「2019年末」という期限を明示した。

 さらに、イラン沖のホルムズ海峡付近で6月13日、日本などのタンカー2隻がテロ攻撃を受ける事件が発生した。

 イランと北朝鮮は長年、核・ミサイル開発で連携してきた。北朝鮮の守旧派はタンカー攻撃を受けて、「わが国は米国と断固対峙(たいじ)すべきだ」「決して『非核化』に応じるべきではない」などと勢いづいたとされる。

 ホワイトハウスは5月中旬、大阪でのG20(20カ国・地域)首脳会合後にトランプ氏が韓国を訪問することを発表した。この時点で「板門店での米朝会談」も想定していた可能性は高いが、事態はさらに進んだ。

 前出の日米情報当局関係者は「正恩氏は、米朝交渉に反対する守旧派に対し、『体制転換はしない。軍の高い地位は変わらない』と説得していたが、反発は強かった。最高人民会議での演説で3回目の米朝首脳会談の期限を2019年末としたのは、『守旧派を押さえられても年内だ』というメッセージだろう。共産党独裁の中国と対立するトランプ政権としては、『北朝鮮の非核化』と『中国からの引き剥がし』を進め、正恩氏の求心力を維持させるため、板門店での電撃会談を具体的に検討し始めたようだ」と明かす。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は6月23日、トランプ氏が訪韓時に南北国境で正恩氏との会談調整を試みようとしているのかもしれないという、一部専門家の見方を報じている。

 今回の会談について、「トランプ氏が急に思い立って、ツイートした」という分析があるが、官邸周辺は「ビジネスマンらしい演出だろう。トランプ氏周辺では周到に練られていたはずだ。日本も感触は得ていた」と語る。

 電撃会談では、非核化交渉の再開に向け、2、3週間以内に米朝双方で交渉チームをつくり、協議を始めることで合意した。ただ、北朝鮮国内の政治状況は複雑で、交渉の先行きについては楽観視できない。

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