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菅官房長官、参院選応援で際立つ存在感 改選複数区で勝利呼び込む

 第25回参院選にはいくつかの特色があったが、その中で最も注目したのは菅義偉官房長官の果たした役割である。

 筆者の手元に、菅氏が選挙期間中に全国遊説した分単位の日時と、住所まで記した演説場所の一覧表(非公開)がある。

 自民党本部が作成した主要閣僚と党役員の遊説日程表(A4版)とは異なるものだ。菅氏は公示日の7月4日から選挙戦最終日の20日まで17日間に、1都16県56カ所を訪れた。

 東京が4回、宮城は3回、そして2回は岩手、秋田、山形、新潟、千葉、広島。とりわけ、秋田の遊説先8カ所と山形の6カ所、そして、1回訪問の滋賀の6カ所が際立つ。

 結果的に、自民党が総力戦で臨んだ32の1人区のうち、東北の激戦選挙区(岩手、秋田、宮城、山形)すべてで敗北した。

 東北以外の激戦区だった新潟と滋賀も敗北したが、菅氏がテコ入れした広島選挙区(改選定数2)は自民党新人の河井案里氏が、同党現職大物の溝手顕正氏をかわして2位で当選した。

 一方、「参院選調査結果一覧」と題されたA4版9枚の自民党独自の情勢調査(7月13~14日実施)と、菅氏が訪れた日時と場所を比較検証すると興味深いことに気づく。

 一例を挙げると、自民党現職の愛知治郎氏と、立憲民主党公認候補の石垣のりこ氏の一騎打ちだった宮城である。

 愛知氏は、石垣氏に2・1%リードを許していたのが、菅氏が10、11両日に応援に入った直後に4・3%の差で逆転した。これを受けて、菅氏は急遽(きゅうきょ)、19日も宮城県入りした。だが、わずか9498票の差で届かなかった。

 広島のケースも注目すべきだ。自民党調査だけではなく、13~14日実施のメディア各社の情勢調査では、溝手氏、河井氏、野党統一候補の森本真治氏の順位だった。

 ところが、菅氏が15、16両日に県内4カ所で街頭演説したところ、最終結果は森本氏がトップ当選、河井氏は溝手氏に2万5000票超の差で勝利する番狂わせとなったのだ。

 こうした事例は、兵庫選挙区(改選定数3)でも見られた。自公両党と、4月の大阪府知事・市長のダブル選で勝利した日本維新の会と、立憲民主党の4党による死力戦だった。

 しかし、公示前に2回兵庫入りした菅氏が県内の業界団体に対し、「公明党への支持」を要請したこともあって、苦戦が予想された公明新人が自民新人より先に当選を確実にした。

 筆者の指摘は、菅官房長官が事実上の自民党幹事長として改選複数区などで勝利を呼び込んだということである。今後ますます、同氏の存在感が高まるのは間違いない。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

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