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中国人の死因順位に変化 肺がんがトップから転落、1位「中風」のワケ

 日本で年金をめぐって飛び出した、「老後資金が2000万円必要」との発言が騒ぎを招いていた同じころ、中国でも年金(養老金)に絡んでちょっとした騒動がネットで持ち上がっていた。

 発端は、2035年に中国の年金の資金は底をつく、というネットで流布された噂だった。

 日本同様、中国でも政府が専門家を動員して火消しに躍起になった。もともと社会保障に「手厚い」という印象のない中国だけに、さもありなんと思いきや、この話はそういうことでもないらしいのだ。

 というのも、資金枯渇の根拠は、一部の地方で起きている年金資金の不足に関するデータだというからだ。

 これは政府が指摘している通り、主な原因は労働力の流動の問題だ。

 日本と似て、中国も現役世代が老後世代を支える方式をとる。その中国では、仕事のある地方に労働者が移動する人口の激しい流れがあり、不公平が生じてしまっていたということだ。

 まあ、年金資金が潤沢か否かという話は別にしても、今回の騒動は空騒ぎであったということだ。

 その話に関連してなのか否か、同じころに話題となったのは、中国人の死亡原因についてだ。

 ちょっと前まで、中国人の死因のランキングでは、そのトップは「肺がん」と相場は決まっていたものだ。中国ウォッチャーならば反射的に「肺がん」というワードが頭に浮かぶのがふつうであった。

 社会主義経済の不効率のなかで、老朽化した生産設備を使い続けた結果の大気汚染などがその原因とされてきたが、毎年冬になるとPM2・5に覆われて、昼間なのに真っ暗になってしまう北京の状況を見れば、「肺がんが死因のナンバーワン」といわれて納得できない人はいないはずだ。ゆえに強い説得力を備えてきたのだ。

 だが、いま長年“不動の地位”にあった肺がんは、いつのまにかトップから転げ落ちていたようなのだ。

 医療雑誌「ランセット」が1990年から2007年まで中国人を調査した結果をもとに、多くの中国メディアが報じた記事によれば、いまや肺がんは中国人の死因の第3位となっているというのだ。

 ちなみに1位は中風(脳卒中)で2位は虚血性心疾患だった。

 2つの病気に共通しているのが、いずれも高血圧、高血脂、糖尿、冠状動脈硬化、肥満、喫煙、飲酒などと深い関係があると考えられている点だという。

 中風に関しては、中国は、男性の発病率が女性を上回っている世界でも珍しい国だともいう。

 原因として指摘されるのが塩分の取り過ぎと喫煙、そして飲酒である。なかでも塩分は、成人男性が1日6グラム以下であるべきところ、12・5グラムが平均だというから納得である。

 ■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。

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