zakzak

記事詳細

【激変する安全保障】「ダチョウの平和」は一瞬で瓦解する!? 日米安保は日本にこそ「計り知れないメリット」

 NHKの番組「キャッチ!」(7月10日)で、解説委員が日米安全保障条約について、最後に次のように締めていた。

 「日米安保は、米国にとって、不公平どころか、計り知れないメリットをもたらしていると思います。日本政府は、(ドナルド・)トランプ大統領に、こうした同盟の内実をきちんと説明し、誤解を解く必要があります」

 本気でそう考えているから恐ろしい。

 事実、番組は「東京のど真ん中、六本木にも、米軍の基地があります」「首都の中心部に、外国の軍隊の基地があることは、世界的にみても、異例」「在日米軍基地は、日本防衛のためだけにあるのではなく、米軍が、インド太平洋地域でプレゼンスを示し、戦略的な機動性を維持するための拠点になっている」などとも「解説」した。

 確かに、米軍基地はそうした機能も果たす。安保条約上も「日本防衛のためだけにあるのではなく」(NHK)、「極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため」(6条)の使用が許されている。

 だが、米国側としては、米軍に基地を提供する義務しか負わない日本から、とやかく言われる筋合いの話ではなかろう。いわんや、テレビで戦争を眺めるだけの日本人から…。

 もし、日本政府が先の「解説」どおりに「説明」したら、どうなるか。

 「首都・東京のど真ん中にも米軍基地があるのは異例ですよね。基地は日本防衛のためだけにあるのではなく、インド太平洋地域の戦略拠点でしょ。不公平どころか、米国に計り知れないメリットをもたらしているじゃないですか。トランプ大統領の誤解です」

 ただちに、日米安保は紙の上だけの条約と化す。改めて虚心坦懐(たんかい)に考えてほしい。米国が「あらゆる犠牲を払って日本を守る」義務と、その米軍に基地を提供する(だけの)義務を並べて、双方のバランスがとれているのかを。

 今一度、常識で考えてほしい。日米安保が「計り知れないメリットをもたらしている」のは本当に米国なのかを。

 世界最強の軍隊が「あらゆる犠牲を払って日本を守る」義務を課した安保条約は、日本にこそ「計り知れないメリットをもたらしている」「誤解を解く必要」があるのはトランプ大統領ではない。NHK解説委員をはじめとする日本人の方ではないのか。

 トランプ大統領が言うとおり、日米同盟は「フェアでない」。英語の「フェア(fair)」は公平とも公正とも訳せる。つまり日米同盟は「不公正、正しくない、不正不当」とも訳し得る。

 米国民がその意識を共有すれば、どうなるか。そのとき、戦後日本が享受してきた「ダチョウの平和」(=ダチョウは危険が迫ると穴の中に頭を突っ込んで、現実を見ないようにするため、現実逃避の比喩表現)は一瞬で瓦解(がかい)する。

 ■潮匡人(うしお・まさと) 評論家・軍事ジャーナリスト。1960年、青森県生まれ。早大法学部卒業後、航空自衛隊に入隊。第304飛行隊、航空総隊司令部、長官官房勤務などを経て3等空佐で退官。拓殖大学客員教授など歴任し、国家基本問題研究所客員研究員。著書に『安全保障は感情で動く』(文春新書)、『誰も知らない憲法9条』(新潮新書)など。

関連ニュース

アクセスランキング