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福島で「日本ワイン」造り活発! 地元で醸造し地域活性化…震災復興の新たな起爆剤に

 果物王国といわれながらワイン生産は振るわなかった福島県で、ワイナリーが増えている。耕作放棄地の有効利用、東日本大震災の影響克服など動機はさまざまだが、近年のブームにも触発され純国産の「日本ワイン」に新たな活路を模索。ブドウ収穫期を前に、生産者は醸造準備に躍起だ。復興の新たな起爆剤としても注目されている。

 「最初はどぶろく造りを目指したが、農家の嫁不足解消には若い人がグラスを回して飲んでくれるワインがいいかと」。二本松市で農家8人がゼロから始めた「ふくしま農家の夢ワイン」代表、斎藤誠治さん(69)は会社設立の動機をそう話す。

 先行ワイナリーを有志で視察した2010年当時、地元にはかつて栄えた養蚕が衰退し放棄された桑畑が残されていた。翌11年3月に震災と福島第1原発事故が発生。新事業着手をためらう仲間もいたが、斎藤さんたちは「夢」を諦めなかった。同年にブドウ苗木を植え、13年に初収穫。14年に750ミリリットル入りで約500本だったワイン生産は、昨年には約1万5000本に達した。赤ワインの原料ヤマ・ソービニヨンを主力に、新たな品種の栽培も試みる。

 会津美里町には今年5月、「新鶴ワイナリー」がオープン。新鶴地区はすっきりした白ワインになるシャルドネの産地として古くから知られるが、農家の高齢化や担い手不足で栽培量が減少。ブドウを大手酒造会社に納めるだけでなく地元で醸造し地域活性化につなげようとワイナリーが造られた。運営会社会津コシェルの小林章太郎さん(45)は畑を見回りながら「ブドウ作りの歴史を残したい」と額の汗を拭った。将来は年3万本程度のワイン出荷を目指す。

 このほか、いわき市の「いわきワイナリー」が15年に本格稼働し、三菱商事復興支援財団が運営する郡山市の「ふくしま逢瀬ワイナリー」は今年3月にワインを初出荷した。原発事故で一時、全村避難を強いられた川内村で17年に設立された「かわうちワイン」はブドウ栽培を開始し、今後醸造にも取り組む予定だ。

 福島はモモやリンゴの有力産地。ブドウも作られてきたがワイン生産では同じ東北地方の山形、岩手県に後れを取ってきた。福島県農林水産部の担当者は「福島は首都圏に近く、ブドウは生食用で出荷できた。しかし加工品の方が風評被害を受けにくいため、原発事故後はワイン生産者が増えているのではないか」と分析している。

 【日本ワイン】 国産ブドウを100%使って国内で醸造したワイン。輸入した果汁やワインを原料に国内で造られた「国産ワイン」と区別するため昨年からブランド表示を開始。和食にも合うなどとして国内外で人気が高まっている。

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