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景気対策の歴史的チャンス! 長期金利ゼロまで国債発行…理論的には100兆円も支障なし

 米中貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱問題、日韓関係の悪化や消費増税、台風の被害など、国内外でさまざまな問題が生じている。景気悪化も懸念されるが、日本は財政や金融でどのような手法で、どのぐらいの規模の対策を打ち出すことができるのか。

 まず今の財政政策や金融政策のスタンスを確認しておこう。財政政策の基本はプライマリーバランス(基礎的財政収支)の均衡化だ。これを杓子(しゃくし)定規に見れば、歳出の削減か増税になる。金融政策はイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)だ。ただし、これでは国債購入量が不足するため、経済を後押しする力強さはない。

 各種の経済対策を考える際、最大のネックになるのが財源問題だ。ここを無視して、こんな政策がいいと意見を出しても、実際問題として財源なしでは話は進まない。一部ではMMT(現代貨幣理論)がもてはやされるが、具体的な経済政策としては全く影響力はない。

 財源問題について考えると、現状のマイナス金利は歴史的ともいえる絶好のチャンスだ。

 マイナス金利といっても、一般には実感がないかもしれない。預金金利もたしかに超低金利ではあるがマイナスにはなっていないし、貸し出し金利もマイナスではない。

 仮に銀行預金金利がマイナスになったら、カネを取られるならタンス預金のほうがいいという人も出てくるだろう。このため銀行預金ではマイナス金利は考えにくい。預金金利に上乗せして貸し出し金利を決めるので、こちらもマイナス金利は考えにくいというわけだ。

 マイナス金利が実現しているのは、国がお金を借りる際だ。11日時点で、8年国債金利で、マイナス0・3%程度だ。これは、日本だけではなく欧州でも起きている現象だ。

 仮に8年国債で国が資金調達する場合、金利が同じであれば、100兆円調達で年間3000億円、8年で2兆4000億円儲かる。これは8年国債を100兆円発行すると、102兆4000億円の当初資金を調達できることを意味する。このうち100兆円は金庫に入れ、残りの2兆4000億円を使っても何の支障もない。

 もちろんこんなうまい話がいつまでも続くものではなく、そのうちに金利が上昇する。なので、政策として考えると、長期金利ゼロまで国債を無制限に発行できるというのが妥当だ。

 しかも、長期金利ゼロまでは日銀が国債を購入する。日銀が保有する国債は乗り換え(ロールオーバー)できるので、事実上償還しなくてもいい。つまり、長期金利ゼロまでの国債発行は、金利負担なしどころか逆に儲かる話で償還負担もない。

 8年国債100兆円発行の例でいえば、金庫に入れた100兆円も使って支障がないのだ。

 こんな「錬金術」による100兆円は現実的ではないかもしれないが、長期金利ゼロまで政府はトライしていいはずだ。

 ぜひこの秋の臨時国会で、マイナス金利環境を生かした国会プロジェクトを議論してもらいたい。それが改造内閣の初仕事だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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