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暗闇に浮かぶ「公園遊具」は芸術だ! 写真家・木藤富士夫氏が撮り続ける“珠玉の1枚”

 鬼、タコ、ロボット、そしてパンダ…。暗闇から浮かび上がるのは滑り台など懐かしい公園の遊具。写真家、木藤富士夫氏(43)が制作に取り組むフォト作品シリーズ「公園遊具」が静かな人気だ。全国各地をめぐっては撮影を重ね、取りつかれたようにシャッターを押す。熱の入る制作過程と、それを介して完成する珠玉の1枚に心を奪われるファンは多い。

 ■大変な夜間撮影

 昼間は子供たちが走り回る公園が、闇と静けさに包まれると遊具たちは光を放ち始めて…。そんな雰囲気を持った独特の写真群だ。

 普通にパシャッと撮ってもこうはいかない。実は、光量の小さいフラッシュを使って、少しずつ光を当てながら何枚もシャッターを切り、最終的に何百枚も合成して画像を作り上げる。遊具の造形美が際立つように光を当てていく作業は、絵を描くようなものだという。

 大きな遊具だと撮影に2時間はかかる。最長では6時間に及んだこともあったそうだ。失敗したら一部だけ撮り直すわけにもいかず、最初からやり直し。なかなかうまくいかず、4回も撮影した作品もある。

 「輪郭を強調したり、立体感を出したりとか、多分、自分しかわからないレベルで納得できなかったりする。でも芸術品なので、芸術品としてちゃんと撮りたいんですよ」(木藤氏)

 撮影は夜なので、不審者と間違われないように気を使う。明るいうちに公園に行って、近所で町会や自治会の人などを探し、かくかくしかじかと説明してから撮影したりもするそうだ。おそろしく手間がかかっている。

 木藤さんを魅了している造形は、遊具でありながらアート作品でもある「プレイ・スカルプチャー(遊戯彫刻)」。ニールセンというスウェーデンのアーティストが提唱し、1950年代以降、日本でも注目されるようになった。

 もともと、公共アートの要素を導入したコンクリートの彫像などが公園に作られていたが、そこに遊びの機能を加えた遊具は、受け入れられやすかったのだろう。

 全国にどれぐらいあるのか総数は不明だが、木藤氏はすでに約200カ所で撮影。「私が確認できただけであと300カ所はあります。全部撮りたいですね」。たとえ同じデザインでも、同じものはない。子供たちとの歴史が刻まれている。だから傷や落書きがあったら、なるべく入れるようにしている。

 ■老朽化で消えゆく存在…「いま、撮っておかねば」

 最近は老朽化したり、危険視されたりして、数が減り、いま撮っておかなければ消えてしまう。作品にはそういうドキュメンタリー的な要素もある。

 「何でもないものだけど記憶に残る。写真を見た瞬間に『ああ…』って、それぞれの記憶が蘇る。そういう被写体はなかなかないので、貴重なものだと思います」

 2014年に自費でミニ写真集を出版。口コミで人気になり、現在は第8巻が刊行中だ。問い合わせは、木藤氏のホームページ(http://fujio-panda.com)で。

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