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災害復旧で重要なのは現場だけ! 中央の仕事は金を工面すること…広域インフラ整備の肩代わりを

 台風15号により千葉県の停電が長期化し、たいへんな思いをした人も多いはずだ。地域災害が起きた際の市町村、県、中央の役割分担、政治家の役割はどのようなものがあるのか。

 ネット上では一部で「内閣改造で、台風災害がおろそかになった」との批判もあったが、現実はかなり異なる。

 災害対応では、地方自治体が大忙しであるのは事実だ。ここで迷惑な行為となるのが、中央省庁からの各種の問い合わせだ。現場での災害対応には余計なものであることが多いのに、地方自治体の職員の時間がとられてしまう。

 今回の場合、内閣改造が行われると、中央省庁は新大臣へのレクチャーその他で忙しく、地方自治体への余計な問い合わせが減るので、結果として地方自治体の職員の災害対策事務がはかどることになる。

 予算面でみると、台風災害では地方自治体の予備費が使われるが、大きな災害の場合、国の予備費予算も使う。地方自治体の現場対応の後、中央省庁では予備費調書が各省で作られ、財務省が予備費使用書を作り、閣議決定される。これだけでも面倒な手続きなのに、さらに国会対応が加わると、実務は大変なことになる。

 筆者は地方財務局部長経験があるが、現場を見て、予算執行作業にも立ち会った。もちろん執行不承認はありえない。災害復旧で重要なのは現場だけだということを実感した。

 災害対策についての地方と中央の役割分担は、災害対策基本法に定められている。第一義的に市町村の責務だ。住民への災害に関する予報や警報の伝達は市町村で行う。災害の状況やそれに対する措置は市町村から都道府県に報告され、さらに中央(消防庁)に報告される。

 都道府県知事は市町村長から応急措置実施の要求を受ける。市町村が事務を行うことができない時に応急措置を代行する。実際に応急措置で動くのは都道府県止まりというのが基本だ。

 もっとも、都道府県知事から防衛相に災害派遣要請があれば自衛隊が派遣される。広域的な大規模災害でない限り、自衛隊派遣を除くと中央は予算をつけるだけでいい。国会開会中の場合、まともな質問もなくはないが、存在感を示したいだけの質問は、災害対応で忙しい地方の職員を疲弊させるだけなので検討すべき余地がある。

 今の時期、中央(国)としてカネの工面でできることは大きい。地域インフラは地方自治体に委ねてもいいが、今の都道府県の範囲では広域整備はできない。全国を8つ程度にわける道州制でもあれば、広域インフラ整備に最適だがそれもないので、国の役割は大きい。

 国は10年国債でマイナス0・2%程度の金利で資金調達できる。都道府県では、10年債でも0・05%だ。地方債は、日銀の買い入れオペ対象でないので、地方債利回りにはマイナス圏には突入しにくいという「ゼロの壁」があるからだ。この際、国が肩代わりして広域インフラを整備する好機だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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